全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。
本日も序盤、中盤に引き続き、作曲家の皆さんの紹介と、「自作について」の終盤、ならびに武蔵野美術大学でのオープニング並びにインターミッションに選ばれた作品を掲載していきます。
最後には今回の鼎談に登壇いただく方のプロフィールも掲載しました。
同志社女子大学で9月24日(水曜日)、武蔵野美術大学で10月2日(木曜日)に開催されます、プレスク・リヤン賞2013のコンサート(正式タイトル「リュック・フェラーリと世界の電子音楽」~プレスク・リヤン賞をめぐって~)の詳細についてはリンクからどうぞ。
川崎弘二氏(京都)、小沼純一氏(東京)と椎名亮輔氏、檜垣智也氏による鼎談も見逃せませんよ!
京都はこちら:『プレスク・リヤン賞2013』コンサートがこの秋、京都で開催!
東京はこちら:『プレスク・リヤン賞2013』コンサートが、東京でも開催!
今回の掲載にあたっては、先に掲載することがいいことなのかどうか迷いましたが、作曲家のみなさんの「狙い」や「ききどころ」を先に読んでいただいておくことで、ご来場いただく方に当日演奏される作品について先に色々と想像し、イメージをふくらませていただけるだけでなく、また当日ご来場いただけない方にも、今回の曲についてイメージしていただけると思いましたので、この機会を逃さず掲載することになりました。
もし当日来場される方で、「会場で作品を聴いてから色々なことを知りたい!」「何も事前に知らずに演奏を楽しみたい!」と思われる方は、ぜひここで読むのをSTOPして、当日パンフレットをお受け取り下さい。
ぜひとも当日のご来場をお待ちしています!
2014年9月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州および日本)
写真は京都でのコンサートポスター(公式)
第1回目はこちらから!
第2回はこちら
それでは後半参りましょう、終盤スタート!
・委細 昌嗣 Masashi Isai
Oto no tegami (2013) 8'03"
【作品について】
リュック・フェラーリさんのアーカイブ音源を彼からの音の絵葉書、手紙と考え、彼に返信をするような作品にしようと考えて、タイトルを「音の手紙」にしました。
手紙なので、何処から送られたのかという「音の手紙」の消印というか切手のようなものが必要だと思い、作品の最初と最後に私の町の音と最寄り駅のアナウンスを入れました。
本来なら本物の駅のアナウンスを使用したいところでしたが、権利関係上の問題で鉄道会社から許可がおりず、鉄道会社勤務の友人にアナウンスをお願いしました。
【プロフィール】
委細昌嗣 1979年生まれ 作曲家。2010年までジャズギターを菊地晃氏に師事。現在、商業音楽理論(バークリーメソッドによる和声理論)、並びに多層的律動構造(ポリリズム)を菊地成孔氏に師事。
Luc Ferrari
Étude aux sons tendus (1958) 2'48"
(引き延ばされた音のエチュード)
【作品について】
引き伸ばされた音はここでは分析基準ではなく、録音された音に施される操作の因果性である。音をゴムのように用い、その最大限の緊張状態を抽出してエチュードを作ろうとしたのだ。引き延ばし=緊張は沈黙に類似するが、また逆に、それ自体を取れば、一般に展開の偶然性を排除する。
「速度」や「偶発」などの語とは違い、これ[引き延ばし]はこのエチュードで使用された音の性格には対応しておらず、人が行う行為、それを獲得するためにマイクの前で様々な素材を引き伸ばしたり、弛めたりする行為を指しているのだ。
しかしながら、この行為は、効果という点では、言わば「音響の結び目」にまとまったり、ゆるんだりするという、リズム的な構造となる。
その上、聴者は分析することなくそのダイナミックな起源を感じ取る。そこから、絶えず破壊されるエネルギーの印象が生まれ、そこでそのものとして捉えられた驚きがその本来の性格を失って、組織化要素となるのである。
このエチュードの音響効果は、マイクの前で交互に引き伸ばされ弛められた様々な素材から得られた物だ。それらは、時に非常に濃い、時に非常に薄められた、リズム構造の形式のもとに現れてくる。そのダイナミックな起源は知覚可能である。こうして、音響の跳躍は、壊されることなく、驚きをもたらす。それは驚きとして追求された物ではなく、組織化の要素となる。
・森藤竜平(Ryohei Morifuji)
Karma issue (2013)
【作品について】
そのメッセージは何度でもやってくる。
音、共鳴、振動、光、時間、、、。
意図的に避けながらも、あるいは関わり続ける。
記号化された日常のベールの下に奇妙な永遠の今を見た時、
悠久に思えた流行の常識、ドグマ、タブー、迷信はまさに瞬間へと変化する。
内包するアストラル界へのアクセスは、外界への新たなホログラムを生み出し、
そしてその透明感を強めた哲学的なフォルムは語り始める。
初めから不安や恐怖など存在しない。
この静けさは同時に、別のスターゲートを出現させた。
【プロフィール】
能楽師と芸者を祖父母に持つ。
現soil&pimp sessionsの佐藤丈青らとJUAを結成、
sonymusicオーディションにてグランプリ受賞も固辞。
自然との共存と霊的世界探求の為、山篭もりし今に至る
プレスク・リヤン賞2013コンサート
リュック・フェラーリと世界の電子音楽
~プレスク・リヤン賞をめぐって~
アクースモニウム演奏:檜垣智也
選曲:Brunhild Ferrari
皆様、3回に渡ってお送りしましたプログラム、いかがでしたか?
どれも面白そうだし、どのような音がきこえてくるのか、とっても好奇心をそそられますね。
楽曲、演奏、鼎談と、相当楽しんでいただけるコンサートになると思います。
最後になりましたが、鼎談に登場いただくみなさまをご紹介しておきます。
【鼎談者 プロフィール】
川崎 弘二 (Koji Kawasaki) (同志社女子大学のみ)
1970年大阪生まれ。2006年に「日本の電子音楽」、09年に同書の増補改訂版(以上 愛育社)、11年に「黛敏郎の電子音楽」、12年に「篠原眞の電子音楽」、13年に「日本の電子音楽 続 インタビュー編」(以上 engine books)を上梓。CD「NHK 現代の音楽 アーカイブシリーズ」(ナクソス・ジャパン)における黛敏郎、湯浅譲二、松平頼暁、林光、石井眞木、一柳慧、実験工房の解説をそれぞれ執筆(2011〜13年)。2011年から雑誌「アルテス」にて「武満徹の電子音楽」を連載。2014年にNHK Eテレ「スコラ 坂本龍一 音楽の学校 電子音楽編」に小沼純一、三輪眞弘と出演。 http://koji.music.coocan.jp/
小沼純一(Junichi Konuma)(武蔵野美術大学のみ)
1959年生。早稲田大学文学学術院教授。音楽批評のみならず、文学、映画、美術など、領域を問わず芸術全般における批評活動を幅広く展開している。音楽関係における著書には『ミニマル・ミュージック その展開と思考』(青土社 1997)、『サウンド・エシックス これからの「音楽文化論」入門』(平凡社新書 2000)、『無伴奏 イザイ、バッハ、そしてフィドルの記憶へ』( アルテスパブリッシング 2008)などがあり、また翻訳には『ジョン・ケージ著作選』( ちくま学芸文庫、2009)等がある。
2014年にNHK Eテレ「スコラ 坂本龍一 音楽の学校 電子音楽編」に川崎弘二、三輪眞弘と出演。
椎名 亮輔 (Ryosuke Shiina)
東京大学大学院博士課程満期退学。ニース大学文学部哲学科博士課程修了。同志社女子大学音楽学科教授。著書に『音楽的時間の変容』(現代思潮新社)、『狂気の西洋音楽史』(岩波書店)、『デオダ・ド・セヴラック - 南仏の風、郷愁の音画』(アルテス・パブリッシング、第21回吉田秀和賞受賞)。主要訳書に、マイケル・ナイマン『実験音楽』(水声社)、ジャクリーヌ・コー『リュック・フェラーリとほとんど何もない』(現代思潮新社)などがある。プレスク・リヤン賞2013では日本からは初めてとなる審査員をつとめた。
檜垣 智也 (Tomonari Higaki)
現代音楽分野、特に電子音楽の創作と演奏を行っている。フランスの国営視聴覚研究所音楽研究グループ、カールスルーエ・メディア・アート・センター、フュチュラ国際電子音楽祭など主にヨーロッパの研究所や音楽祭を中心に多数の委嘱を得て招待公演に招かれている。2011年フランスのモテュスよりアルバム「Mahoroba」をリリース。代表作に「豊饒の海」「囚われた女〜秋山邦晴のテープレコーダーのための詩による」など。また電子音楽の演奏ツールであるアクースモニウムの演奏家として500以上の作品を上演。近年世界的にも珍しいアクースモニウムによる映画上映にも取り組み注目されている。
リュック・フェラーリが設立した“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)により行われているヘールシュピールのコンクール「リュック・フェラーリ賞」を授賞している。
作曲家の生の声をお届けすることができることを大変光栄に思っております。
今回ご協力いただきました作曲家の皆様に深く御礼申し上げます。
いよいよ今週水曜から、この秋のリュック・フェラーリイベントが幕を開けます。
お楽しみに!!
プレスク・リヤン協会日本支局 広報担当
【関連過去記事】
必携!リュック・フェラーリ関連イベントまとめ(2014秋版) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)
【プレスク・リヤン賞2013リンク】
"プレスク・リヤン賞" - 記事一覧 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)
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「プレスク・リヤン賞2013(Prix Presque Rien2013)講評」【1/4】 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)
「プレスク・リヤン賞2013(Prix Presque Rien2013)講評」【2/4】 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)
「プレスク・リヤン賞2013(Prix Presque Rien2013)講評」【3/4】 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)
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速報!Prix Presque Rien 2013 (プレスク・リヤン賞2013) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)
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プレスク・リヤン賞【1】(4月13日重要追記あり) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)