全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは!
リュック・フェラーリが1929年2月5日にパリで産まれてから本年で90年を迎えます。
ロンドンにあるアートスペース Cafe OTO と Close-Up Cinema では2月の7日から14日までの8日間、リュック・フェラーリ生誕90周年と、本< STEREO SPASMS >の発売を記念して、 前代未聞のリュック・フェラーリ・フェスティバル < STEREO SPASMS FESTIVAL CELEBRATES THE NINETIETH BIRTHDAY OF COMPOSER LUC FERRARI > が開催されることになりました!
STEREO SPASMS FESTIVAL CELEBRATES THE NINETIETH BIRTHDAY OF COMPOSER LUC FERRARI ← Cafe OTO
プログラムはなんとCafe OTO8本、Close-Up Cinemaが8本の計16本にものぼります。
そこで、今日はこのフェスティバルの紹介企画の一回目として、簡単に発売直前の本、< STEREO SPASMS >(仮)とClose-Up Cinemaでのプログラムについて紹介していきます。
この< STEREO SPASMS >(仮)はブリュンヒルド・フェラーリによるリュック・フェラーリの原稿集、”Luc Ferrari, Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005) "(痙攣の中の音楽)(les presses du réel社 2017、仏語)をベースとして、単なる英訳改訂増補版といってしまうには惜しいほど、フランス語版ではページ数などの都合から掲載できなかったり編集されていた部分を加え、また写真や資料も豊富かつ十二分に盛り込んだ豪華版です。
この< STEREO SPASMS >(仮)は、ギタリストであり、元ソニック・ユースのリーダー、サーストン・ムーアがパートナーであり、編集者のエヴァ・プリンツと設立したEcstatic Peace Library から出版されます。
「この本を読んだ読者には、リュック・フェラーリを取り巻いていた(ように見える)霧さえ晴れるに違いない」とさえ言われているこの< STEREO SPASMS >(仮)、手に取る日が楽しみで仕方ありませんね。
イギリスではすでにこの出版とフェスティバルに関するニュースが伝えられていて、
イギリスの有名音楽誌 ”Wire”(420号) では
Epiphanies: Brunhild Ferrari’s ferric reveries
として、この本の翻訳者、カトリーヌ・マルカンジェリによるブリュンヒルド・フェラーリへのインタビューが掲載されています。このタイトルもとっても詩的な感じがします。
The Wire Issue 420 - February 2019
(Cafe OTOでのイベント詳細については、次回以降ご紹介していく予定です)
さて、ロンドンのClose-Up Cinema ではリュック・フェラーリを特集したプログラムが2月の7−14(11日はお休み、Cafe OTOでイベントが開催)の連日開催されます。
2月7日は開催レセプションとスコアの展示が行われ、
リュック・フェラーリがジェラール・パトリスと共同監督したTVドキュメンタリー映画「大いなるリハーサルシリーズ」(1965−66)より「カールハインツ・シュトックハウゼン 」篇が上映されます。
続く8日は宇宙についての教育映画「バランスから遠く離れて」(1977、音楽担当)とハンブルグの若き女性たちを中心に、港町の躍動感をみずみずしく活写した「少女たち」(1967)、
9日にはまた「大いなるリハーサルシリーズ」から「パリのセシル・テイラー 」篇、
10日にはテクノから民族音楽まで、幅広い音楽ドキュメンタリー監督として活躍目覚ましいジャクリーヌ・コー監督 による「リュック・フェラーリとほとんど何もない」(2005)、
12日にはGRMのコレクションからピョートル・カムラー監督作(作品名未定)が、
13日には1977年に音楽で参加した「ボリス・ヴィアンの肖像」の中の「弟子」、
そして最終日の14日には、若き日のリュック・フェラーリが彼に面会するためにアメリカまで出向き、「大いなるリハーサルシリーズ」として企画されながらもその急逝によりプランを急遽変更して制作された「エドガー・ヴァレーズ 」が上映されます。
ロンドンだからこそ実現可能ともいえるような、贅沢すぎるこのプログラム、体験できるラッキーな人が本当にうらやましいです。
(文中敬称略)