リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

2020年2月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州・日本)

 

全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

 

インフルエンザやコロナウイルスで喧しい昨今ですが、今から春先用のマスクのことを心配しておられる方も多いのではないでしょうか。節分の豆を数えながら、福豆が何かと重苦しいムードを一掃してくれればなあと思ったりします。

 

さて、昨年2月5日から1年間続いた「リュック・フェラーリ生誕90周年」もいよいよ明日4日を持ってフィナーレとなります。

90周年最後を締めくくるイベントとなるのは、パリでのPrix Presque Rien 2019(プレスク・リヤン賞2019)の記念コンサートです!

 

<プレスク・リヤン協会日本支局公式ブログでは、毎月冒頭にAssociation Presque Rien(プレスク・リヤン協会)本部(パリ)の公式ウェブサイト に掲載されている情報をもとに、その月、世界中で開催されているリュック・フェラーリに関連するイベントについてお届けしています >

 

 

2020年2月2日現在、公式ウェブサイト に掲載されている2月のリュック・フェラーリ関連イベントはパリでの一件と日本の一件です。

 

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パリ11区にあるGalerie UNIVER (ギャラリーユニヴェール)では2月4日19:30から

<SOIREE DE REMISE DE PRIX PRESQUE RIEN 2019>

を開催します。(協力:La Muse en Circuit、MOTUS)

 

 

当日はプレスク・リヤン賞2019年1er Prixとなった

 - Manfredi Clemente(マンフレディ・クレメンテ)の   

  • Un sono che signa di non sognare (10’32)     をはじめとして、 

2ème Prix - Hugo Grenier         

  • Zéphyr (7’35)     

3ème Prix - Kyohei Hayashi     

   • Tulipe Tulipe Tulipe (10’19)

Mentions Spéciales ex aequo

- Yunju Ma   • Ce jour là (9’29) 

- Vincent Grimaldi    • Siesta (9’26)

Mention Débat et Controverses

- Félix Blume  • À l’écoute de Presque Rien (7’37)

の各作品の上演に加え、今年度の審査員の中から

 Pablo Cueco, Mirtha Pozzi, Samon Takahashi, Guillaume Contré による鼎談や授賞者へのインタビューなども行われる予定になっているとのこと。

入場無料、また上演終了後には軽食のもてなしもあるそうです。

 

プレスク・リヤン賞2019コンサートは昨年の12月にアルフォートビルの“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)で予定されていましたが、フランス全土におけるストライキの影響で延期&会場変更となりました。

今回は2013年GRMスタジオでのコンサート以来、7年ぶりにパリ市内に戻っての公演となります。

 

また、先ほど入ってきた情報ですが、2月29日17時半より、< Perspectives > 出版記念発売サイン会&ミニコンサートがパリ11区のレコード店SOUFFLE CONTINU で開催されます。

2CDと本で構成されるこの本< Perspectives >は、ブリュンヒルドフェラーリが実父の、作曲家、音楽家であったWolfgang Meyer-Tormin(ヴォルフガング・マイヤー=トルミン )と夫Luc Ferrariによる知られざる絵画作品と未発表音源で構成した200冊限定のシリアル入り私家版です。

音源発掘やレコーディングなど、構想から出版まで7年以上、様々な紆余曲折を乗り越えてついにAssociation Presque Rienレーベルからの出版に漕ぎつけたというこの稀少本、現在のところ、リュック・フェラーリ関係のコンサートに限ってごく少数が販売されています。

 

lucferrari.com

当日はBrunhild Ferrariの他、昨年サーストン・ムーアのEcstatic Peace Libraryより出版された<Luc Ferrari COMPLETE WORKS>の翻訳者でもあるCatherine Marcangeliと、フェラーリ作品を演奏し続けているピアニストのMichel Maurerも来場し、演奏と対談を行う予定だそうです。

 

 

2月1日に京都の同志社女子大学今出川キャンパス)で開催された 日本音楽学会 西日本支部第49回定例研究会 <フェラーリの創作活動の多面性ーその検証と現在時への可能性ー2>は無事に終了しています。

 

 

【先月の取りこぼし&ミニ情報まとめ】

続いて先月の月報に掲載されていなかった情報や追加のおさらい、とれたての最新情報など、リュック・フェラーリ周縁の動きをまとめてご紹介していく「先月の取りこぼし」のコーナです。

(今回「先月の取りこぼし」はありませんでした、やったー!)

 

ー 先月1月17日にパリ19区にある”Le 104”で開催された<LIVE ELECTRONICS >。

このコンサートでは、リュック・フェラーリ作品<Et tournent les sons dans la garrigue(そして音はガリーグを巡る)>も演奏されました。

主催のGRMでは今回、ロンドンやニューヨークでのフェラーリ生誕90周年企画<Stereo Spasms>に関わったDavid GRUBBS(ダビッド・グラブス)、また同じくロンドンCafe OTOでのコンサートやパリ郊外モントルイユの<Stereo Spasms>に出演したフェラーリ夫妻との縁も深いeRikm、またその友人のThomas LEHNやDafne VICENTE-SANDOVAL、Ji Youn KANGにTiziana BERTONCINI, Antonin GERBAL、といった素晴らしいメンバーを招聘しました。

 

そんな感涙必至のコンサートの模様が昨日france musiqueの < L’Expérimentale > で放送されました。まもなくインターネット上でも試聴できるようです! 

www.francemusique.fr

 

番組DJはG.R.Mのディレクターで、同じく昨年ロンドンのCafe OTOでの<リュック・フェラーリ生誕90周年記念 Stereo Spasms>の最終日にリュック・フェラーリ作品とジム・オルークによるフェラーリ作品をプレイしたFrançois Bonnet(フランソワ・ボネ)。先月の記事ではAbletonに掲載された彼のインタビュー「INA GRM:エクスペリメンタルミュージックの過去・現在・未来 」も紹介しました。

 

 

association-presquerien.hatenablog.com

 

 

ー 先月もお伝えした、Oren Ambarchi(オーレン・アンバーチ)主宰のBlack Truffレーベルより発売されたブリュンヒルドフェラーリジム・オルークによるLP< Le Piano Englouti>。

pitchfork.com

Pitchforkにこのレコードに関するとても素敵なレビューが掲載されました(英語版、英語が苦手な方は翻訳アプリでご覧ください)。二人の動きについても丁寧に解説されていて、絶対聞きたくなってしまいます。

 

 

フェラーリ作品を地道に紹介してきたイタリアのレーベルERICAが1月、Dialogue  Ordinaire avec la machine & Sexolidad をLP化しました。CDでは分からなかったフェラーリの盟友Jacques Brissot (ジャック・ブリソ)によるコラージュも存分に楽しめます。

 

 

最後に先月もちょっぴり触れましたが、当ブログ読者にもおなじみの映画監督Jacqueline Caux(ジャクリーヌ・コー)による最新作<Bad Girls des Musiques Arabes - du VIIIè siècle jusqu'à nos jours >、先月26日に開催されたルーブル美術館でのプレミア上映も満席だったそうです。

現在クラウドファウンディングで支援を募集中とのことで、予告編リンクを貼っておきます。


TRAILER - Bad Girls des Musiques Arabes - du VIIIè siècle jusqu'à nos jours / Jacqueline Caux

 

 

 

 

(文中敬称略)

 

【参考過去記事】

2020年1月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)