全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、謹んで新春の寿を申し上げます。
昨年2月5日のフェラーリ生誕90周年の日を皮切りに、世界各地で開催されてきたリュック・フェラーリ生誕90周年イベントも来月2月4日で千秋楽を迎えます。
今月はP.シェフェールとともフェラーリもその創設に関わったG.R.Mによってパリでのコンサートが企画されています。
プレスク・リヤン協会日本支局公式ブログでは、毎月冒頭にAssociation Presque Rien(プレスク・リヤン協会)本部(パリ)の公式ウェブサイト に掲載されている情報をもとに、その月、世界中で開催されているリュック・フェラーリに関連するイベントについてお届けしています。
2020年1月6日現在、公式ウェブサイト に掲載されている1月のリュック・フェラーリ関連イベントはパリでの一件。
1月17日午後20:30から、INA-GRMの主催により、パリ19区にある”Le 104”で開催される<LIVE ELECTRONICS >。今回大トリとなるのがリュック・フェラーリ作品<Et tournent les sons dans la garrigue(そして音はガリーグを巡る)>です。
GRMでは今回の企画のために昨年11月にニューヨークでリュック・フェラーリ生誕90周年企画<Stereo Spasms>を主導したDavid GRUBBS(ダビッド・グラブス)をアメリカから、同じく11月にパリ郊外モントルイユで開催された<Stereo Spasms>で素晴らしい演奏を披露したeRikmをマルセイユからそれぞれ招聘しました。
さらに当日出演するDafne VICENTE-SANDOVAL、Ji Youn KANGにTiziana BERTONCINI, Antonin GERBAL、Thomas LEHNも加わり……と、かなり重厚な顔ぶれになりそうです。
(AbeletonによるG.R.Mのディレクターを務めるFrançois Bonnet(フランソワ・ボネ)のインタビューはこちら↓)
アメリカでの < STEREO SPASMS >イベントは、< Art in America >でも ”フランス音楽の2人の反逆者、リュック・フェラーリとエリアーヌ・ラディーグの再評価 (by Walker Downey)”として取り上げられました。正確な理解による確かな評価の手応えをますます感じるようになって来ています。
1月17日にはそのEliane RADIGUE作品も共に演奏されます。
また、リュック・フェラーリの4枚組CD<センチメンタル・テールズ>を出版したフランスのレーベルshiiinからは最近立て続けにエリアーヌ・ラディーグのCDが出版されています。クオリティにこだわった良質なリリースを続けています。
今月10日、ブリュンヒルド・フェラーリ&ジム・オルークのコラボレーション作品がOren Ambarchi(オーレン・アンバーチ)主宰のBlack Truffle (ブラック・トリュフ)レーベルより発売されます。
ブリュンヒルド・フェラーリ作曲作品< Le Piano Englouti>と<Tranquilles Impatiences>。
2014年10月26日に東京六本木のスーパーデラックスでの<Heeman Ferrari O’Rourke 2014>の録音を元に、ジム・オルークによるリマスターが施されているとのことです。
すでに海外サイトやアマゾンでも予約が始まっています。
【先月の取りこぼし&ミニ情報】
続いて先月の月報ではお届け出来なかった&小ネタを紹介するリュック・フェラーリ周縁の動きをご紹介する「先月の取りこぼし」のコーナです。
先月の取りこぼしは一件。
スイスのラ・ショー=ド=フォン で12月19日に開催された
<FERRARI 90 – REVISITED, Anniversary concert >です。
プレスク・リヤン賞2019の審査員でもあるCarole Rieussec (キャロル・リュセック)と“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)で録音アシスタントをつとめていたこともあるJean-Christophe Camps (ジャン=クリストフ・キャンプ)によるユニットKristoff K.Roll 。その多彩かつ独創的なパフォーマンスはヨーロッパでも高く評価されています。
ブリュンヒルド・フェラーリが今回の作品のために提供したリュック・フェラーリ音源を元にした作品の上演だった模様です。プレスク・リヤン賞とは直接関係ありませんが、Kristoff K.Rollがどういった方面からアーカイブを検討したかは大いに気になるところですね。
続いてミニ情報コーナーです。
リュック・フェラーリを撮影した映画「Presque Rien avec Luc Ferrari」の監督であり、今やフランスにおける重要なドキュメンタリー監督の一人となりつつあるJacqueline Caux (ジャクリーヌ・コー)の最新作
Bad Girls des Musique Arabes du Vllle siècle à nos jours
のプレミア上映が1月25日にルーブル美術館で行われます。彼女と夫で音楽学者の故ダニエル・コーのライフワークであるアラブ音楽と女性をテーマにした作品だそうです。
東京で昨年30日に開催されたリュック・フェラーリ生誕90周年企画<Stereo Spasms>は大いに盛り上がった模様です。もともと可塑度の非常に高い<Tautologos 3>を練り込みに練りこんでプレイしたとのことで、楽曲に関するトークを挟んで2回演奏するという、年の瀬の忙しさを忘れてフェラーリの世界にはまり込める、ファンにはたまらないイベントになったようです。
また当日は<Luc Ferrari Complete Works>、イラストレーターのYKOYKOによるリュック・フェラーリ(3Dリマスター&パネル)や<Tautologos3>、さらにブリュンヒルド・フェラーリの実父であるアーティストヴォルフガング・マイヤー=トルミン とリュック・フェラーリのアート作品集<Perspectives>など、日本未発売だったりネットでは買えない超超なレア物も展示、販売されていたそう。
フランスの大規模ストライキの影響により延期になっていたPrix Presque Rien2019 (プレスク・リヤン賞)コンサートですが、2月上旬にパリ市内で開催される予定となっているとのことです。詳細なスケジュールはプレスク・リヤン協会本部ウェブサイトにてご確認ください。
最後に研究者向けの内容ですが、日本音楽学会 西日本支部第49回定例研究会が京都の同志社女子大学(今出川キャンパス)で開催されます。今回の内容は昨年大阪大学で開催された日本音楽学会のシンポジウム「リュック・フェラーリ生誕90周年記念シンポジウム」を引き継いだ
<フェラーリの創作活動の多面性ーその検証と現在時への可能性ー2>。
コーディネーター、パネリストは椎名亮輔(同志社女子大学)、クリストフ・シャルル(武蔵野美術大学)、鈴木治行(作曲家)。
2月1日は同志社でリュック・フェラーリのシンポジウム pic.twitter.com/AfQxt1w8KX
— 川崎弘二 Kōji Kawasaki (@koji_ks) 2020年1月6日
今年もますますリュック・フェラーリを巡る世界の動きから目が離せない一年になりそうですね。
(文中敬称略)