リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

(読者プレゼントあり!)「真夏の夜のリュック・フェラーリ」イベントレポート

 

全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

 

 

今日は7月14日に京都メディアショップで開催されました「真夏の夜のリュック・フェラーリ」の模様をお伝えしていきます

。(本文最下部にプレゼントのお知らせがありますのでお見逃しなく!)

 

今回のイベントは本年春、フランスでのCD-BOX ”prix Presque Rien prize”と”Luc Ferrari Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005)”の発売とそのイベントを受け、日本で開催されたものです。

 

 

梅雨明け直前、祇園祭真っ最中の京都は朝から「湿気も暑さもハンパなかった」そうですが、13時にはプレイベントが無事オープン。

 

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会場にはリュック・フェラーリによって創設された“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)の、特にフェラーリが会長をつとめていた時代の資料を中心として、これまで日本では紹介されたことすらない、およそ80点にのぼる貴重な資料が展示されました。

 

中にはあのジャン・レノが出演した「ソシエテ1」や、コンロン・ナンカロウのスペクタクルのパンフレット、またアルテスから昨年出版された「リュック・フェラーリ センチメンタル・テールズ」に収められている「自伝」がまとめられた冊子、またドイツで「センチメンタル・テールズ」が放送された際に編まれたブックレットや、「回路の詩神」協会が関わったヘールシュピール作品のパンフレット、またレコードや当時に製作されたグッズなど、写真を見るだけでも、フェラーリが当時どれほどの熱意と仕事量をもってフランス現代音楽の歴史を開拓していっていたかが伝わってきます。

 

当時制作されたスタジオやホール、カフェやコンサートのフライヤーからは、ヨーロッパの音楽文化と歴史の層の厚みに裏打ちされた、EU統合前夜のヨーロッパの人たちの息づかいを感じ取ることもできそうです。

 

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またプレスク・リヤン協会のアーカイブからは、ジョルジュ・クルターグからフェラーリに進呈された手書きの楽譜や、若き日のフェラーリが自ら書き込んだバッハ作品の楽譜といった驚くような展示物もありました。

 

写真手前のスペースではその資料を実際に手に取ってゆっくり見ていただけたそうです。

 

 

またプレイベント会場ではジャクリーヌ・コー監督による「Presque Rien avec Luc Ferrari」の参考上映や、CDの試聴ができたそうです。

 

 

16時からはCD-BOX ”prix Presque Rien prize”に収録されている作曲家委細昌嗣さんによるミニ・コンサート。心地よいギター演奏が会場を満たしました。


Masashi Isai solo guitar

 masashisai001’s blog

 

お客様の入れ替えを経て午後6時半からはメインイベントとなる、椎名亮輔さんによる講演

「そして音はフェラーリを巡る〜リュック・フェラーリ、詩と真実〜」が行われました。

 

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 先日フランスで出版された「Luc Ferrari Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005)(「痙攣の中の音楽」)」の紹介から始まったお話は、この遺稿集から抜き出されたいくつかのテクストをてがかりにして、複雑な層を持つリュック・フェラーリの巨大な作品群を眺望しつつ、初期作品から現在開催中の「プレスク・リヤン賞」のアーカイブスに至るまで、またeRikmやParisLikeの仕事のように、音楽に限らずさまざまな変化形をとりながらも、その中に巧みに編み込まれているリュック・フェラーリの「遺伝子とその組み替え方法」を映像や音楽などを使いながら詳かにしていくという、これまでとはひと味違ったコアかつ冒険的な試みでした。

 

 

vimeo.com

 

リュック・フェラーリとモダンダンス(モンペリエ・ダンスフェスティバルとパリ公演) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

今回来場いただいた方には、設立当時に制作されたという、ジャック・ブリソによってデザインされた“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)の最初期ロゴの希少なステッカー、そしてまた7月5日に亡くなった作曲家、ピエール・アンリについて日本語でまとめられた「ピエール・アンリ 音の芸術」(ピエール・アンリ、川崎弘二・檜垣智也編 、engine books 2015)がプレゼントされました。

 

この小冊子は2015年に岐阜のサラマンカホールで開催された「サラマンカホール電子音響音楽祭 | ぎふ 秋の音楽祭2015〈現代音楽の日〉」でアンリの作品が上演された事にともない、電子音楽研究家の川崎弘二さんと作曲家の檜垣智也さんにより製作されたもので、唯一日本語でまとまって読める貴重なピエール・アンリについての小冊子になっています。

 


ピエール・アンリ雅楽とミュージック・コンクレート(2015)

 

ー 小冊子進呈のお知らせ ー (8月10日更新)

このたびプレスク・リヤン協会日本支局では川崎弘二さんの御厚意により、ピエール・アンリについて日本語でまとめられた小冊子「ピエール・アンリ 音の芸術」(ピエール・アンリ、川崎弘二・檜垣智也編 、engine books 2015)を無料で進呈いたします(送料のみ着払いにてご負担ください)。

 

ご希望の方は、ブログ最上部に書かれているメールアドレス、もしくはプレスク・リヤン協会日本支局公式ツイッター(presquerien_ja)のDMにて、件名を「ピエール・アンリ冊子希望」と書き、お名前と住所を添えてお申し込みください。
(なお、規定部数に達し次第この文章を取り下げますので、掲載の間はお申し込みいただけます)

 

また、本 ”Luc Ferrari Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005)”(仏語)も僅少ですが頒布させていただけます。ご興味のある方はぜひ上記メールアドレスまでお問い合わせください。

 

 

ピエール・アンリがプレスク・リヤン協会の会員でもあり、また生前フェラーリ夫妻と夕食をともにするほどの親交があったことは意外に知られていませんが、GRM入局まで器楽曲をメインとしていたフェラーリに丁寧にミュジーク・コンクレートの手ほどきをしたのは、2つ年上のピエール・アンリでした。

 

 

 (生前最後の映像が収録されているDVD入り)

Didascalies (Bonus Dvd)

Didascalies (Bonus Dvd)

 

 

(ジャクリーヌ・コー監督による傑作)

 

 (過去3回6年分の音楽作品から選りすぐられたプレスク・リヤン賞のCD)

Prix Presque Rien Prize

Prix Presque Rien Prize

 

 

 (まもなく発売!)

Complete Music for Films 1960-1984

Complete Music for Films 1960-1984

 

 

 

【参考過去記事】

 

7月14日は京都で「真夏の夜のリュック・フェラーリ」!(お昼もあります) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

ピエール・アンリ追悼 Pierre Henry(9, DEC, 1927 ー 5, Jul, 2017) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

Luc Ferrari Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005)(「痙攣の中の音楽」)レビュー - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

【Luc Ferrari】<< Musiques dans les spasmes – Ecrits (1951-2005)>>(痙攣の中の音楽:仮)が出ますよ! - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

CD-BOX ”prix Presque Rien prize” の発売が始まります!   - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)