リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

プレスク・リヤン賞【2】

 

全国2万5千人のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

 

お待たせしました。今日は昨年フランスのアルクイユ(Arcueil)で開催された『第一回プレスク・リヤン賞』のイベントの模様をお届けします。

 

今年度のプレスク・リヤン賞の募集に関する記事はこちらから。

プレスク・リヤン賞【1】(4月13日重要追記あり) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

 

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2012年5月25日からフランス・アルクイユにあるAnis Gras 劇場において『第12回「回路の詩神」音楽祭ー拡張ー』が開催され、『即興とヘールシュピール ~リュック・フェラーリの世界~』と題したイベントが行われました。

 

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このイベントを企画・主催した「回路の詩神」”La Muse En Circuit”についてはいずれまた詳しく紹介しなければなりませんが、ブリュンヒルド・フェラーリによって名付けられ、リュック・フェラーリによって創設されたこの「回路の詩神」協会は、フランス国内において相当の地位を得るようになった現在でも、その名にリュック・フェラーリの名前をしっかりと冠しています。

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アルクイユでのイベント期間の一晩は『Presque rienの夕べ』として、第一回プレスク・リヤン賞の候補作品などが上演されました。

アルクイユはパリの郊外、RERでパリ中心部から一時間かからない程の場所にあり、エリック・サティも一時期を過ごした場所としても知られています。

 

アルクイユのことをちょっと調べてみました。

 

アルクイユ - Wikipedia

 

フランスかぶれの手帖 アルクイユ断章その1 サティとサドの街

 

またAnis Grasのページはこちら

 

ACCUEIL | Anis Gras

 

 

今回のイベントはSACEMの協賛で生まれたもので、リュック・フェラーリによって録音されたサウンドファイルから着想を得た作品が世界中から募集されました。

まず開場に先立ち、回路の詩神の代表であり、プレスク・リヤン協会の会長も務めておられる作曲家、ダビッド・ジス(David Jisse)氏から今回のイベントの簡単な解説が行われます。

 

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続いて最終候補となった作品の紹介と演奏の前に、フェラーリの音素材に触発されたエリーズ・カロン、マルク・デュクレ、フランク・ヴィグルーらが即興演奏する鮮やかなパフォーマンスが上演され、一旦休憩を挟みます。

 

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あなたのノドに爽やかな風を〜anis gras〜

 

 

このAnis Gras劇場は元々フランスの伝統的なアニス酒の工場であったもので、建物の周りにはまだほんのりとアニス酒の甘い香りが立ち上っているような気さえします。

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休憩時間はたっぷりと取られていて、すべてが夕焼けに溶け込んでいくパリ郊外の5月のゆったりとした雰囲気の中、めいめいが飲み物や軽食を注文して楽しみながら、色々な会話に花を咲かせています。

こういった雰囲気もとても大切ですよね。

 

 

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再び開場となり、ほどよい緊張感の会場の中で、候補作の上演が2幕に分けて演じられました。

 

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当日上演された候補作の中から、プレスク・リヤン協会によって選ばれた審査員の方達による厳正な審査の結果、以下のグランプリおよび次席作品が選ばれ、それぞれ授与されました。

 

- ジョン・パルメール作曲「記憶」JOHN PALMER " mémoirses"(グランプリ)

- ダニエル・ブリンクホルン作曲「光の音」DANIEL BLINKHORN"le son de la lumière "

- エルザ・ジュステル作曲「ほぼNada」ELSA JUSTEL"Casi Nada Suite électroacoustique"

 

なお、これらの曲はプレスク・リヤン協会本部のホームページの『プレスク・リヤン賞』(prix presque rien2013、もしくは presque rien prize 2013)のカテゴリから聴くことができます。

 LUC FERRARI←ここから

 

これらの受賞作品は音響作品であったり、光センサーを多様に使った演奏であったりとした訳ですが、応募作の中にはビデオ作品などの総合芸術作品も含まれていました。

 

今回のプレスク・リヤン賞は前回よりますます幅広いジャンルから、面白い発想、新鮮な驚きを持った作品が求められています。

 

かってたくさんの芸術家が困難を乗り越え、彼らの時代の芸術を現在に残してきたように、既成の枠を軽々と乗り越えた、未来に向けた素晴らしい芸術的跳躍が次回の候補作に並んで欲しいと思います。

 

 

【関連過去記事】

 

 

プレスク・リヤン賞【1】(4月13日重要追記あり) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

「プレスク・リヤン協会」(Association Presque Rien)案内 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

リュック・フェラーリの未公刊作品『階段を降りる女性』(『プレスク・リヤン協会』入会特典CD) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)