全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。
プレスク・リヤン協会本部のみなさんや、フェラーリについてよくご存知の方々から情報をいただいていると、時に「え〜、面白〜い(う〜ん、でも別にブログに書くほどでもないかも……)」という話が回ってくることがあります。
「細かなトリビアをも取り上げてこそのプレスク・リヤン協会日本支局ではないのか」という声を聞いたこともあり、今日はそういうお話の中から、映画方面に絞って、ちょっぴりまとめてみます。
・「21 nuits avec Pattie(パティとの21夜)にMathilde Monnierが出ているぞ!」
舞踏家のマティルド・モニエといえば、当ブログ読者の方にはモダンダンス作品”Twin Paradox ”でリュック・フェラーリをフィーチャーしただけではなく、フェラーリの若き盟友eRikmとのコラボレーションなどでもなじみがありますが、2015年のフランス映画「21 nuits avec Pattie(パティとの21夜)」ではとても重要な役どころで登場している、ということです。
「愛の犯罪者」(2013)のアルノー&ジャン=マリー・ラリュ兄弟監督によるこの映画、イザベル・カレとカリン・ヴィアールという2大女優を軸に、アンドレ・デュソリエやドニ・ラヴァンが脇を固めた、とってもフランス映画らしいフランス映画、ということなのですが、とても残念なことに2018年現在、日本では映画祭で公開されたのみで、DVD化もされていない模様です。
パティーとの二十一夜 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画
フランス語版(日本語字幕なし)のDVDのリンクを一応紹介しておきます。ジャケットかわいいな……。
・「画家と庭師とカンパーニュ の原作はHenri Cueco 」
2008年に日本でも公開された「画家と庭師とカンパーニュ(Dialogue avec mon jardinier)」。
こちらの作品は日本版のDVDも発売されています。主演はダニエル・オートゥイユ とジャン=ピエール・ダルッサン 。
「クリクリのいた夏」のジャン・ベッケルが監督をしています。この映画の原作者である画家のアンリ・クエコはリュック・フェラーリの友人でした。リュック・フェラーリと同じ1929年生まれのアンリ・クエコは昨年2017年の3月に惜しくもこの世を去っています。
アンリ・クエコはリュック・フェラーリ作品「細胞75 ( Cellule 75)」を演奏したパーカッション(ザルブ)奏者で、“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)の古参でもあるパブロ・クエコ(Pablo Cueco )のお父さんにあたります。ちなみにジャック・ベッケル監督のお父さんは映画監督のジャック・ベッケル 。
アンリ、パブロ親子はラジオ・フランスで一緒に番組をやっていました。またパブロ・クエコはつい先日初の著書”Pour la route ”を出版されたということです。
https://www.decitre.fr/livres/pour-la-route-9782490245062.html
また、パブロ・クエコのパートナーのミルタ・ポッジ(Mirtha Pozzi)はパンタン音楽院時代のリュック・フェラーリの教え子ということで、とっても素敵なレビューをみつけたのでご紹介。このレビューでも少し触れられていますが、参加ミュージシャンには他にもL'ensemble Laborintus(アンサンブル・ラボリントス)のSylvain Kassap(シルヴァン・カサップ)やMichel Musseau(ミシェル・ミュソー)など、リュック・フェラーリと縁の深いアーティストが参加しています。
このジャケットだけでもしびれちゃう。
・「ザ・カンニング IQ=0 (Les Sous-doués)とリュック・フェラーリ作品をつなぐ、ある人物が存在する」
1980年(日本では82年)に公開されたフレンチ・コメディ「ザ・カンニングIQ=0」。こちらも主演は先ほどと同じダニエル・オートゥイユ。DVDももちろん出ています。日本でも80年代から90年代にかけ、TVでよく放送されていたようです。
さて、リュック・フェラーリとは一見、まったくつながりそうもないこの「ザ・カンニング」ですが、
この作品のカメラを担当(撮影監督ではない)したダニエル・リュテリエ(Daniel Leterrier) はリュック・フェラーリが1960年代にフランス国立放送探究局(Service de Recherche de RTF) の仕事でアルジェリアの映画館に派遣された際、現地での写真撮影を担当した人物で、後にもわずかながら交流があったようです。
・「ロマーヌ・ボーランジェ の最新作はモントルイユが舞台!」
パリ郊外モントルイユ(Montreuil)市といえば、 ジョルジュ・メリエス がスタジオを構えていたり、70年代に伝説的なクラブがあったり、 またもちろんリュック・フェラーリが(スタジオはパリ市内にありましたが)晩年を過ごしたことでも知られています。
近年はパリの人口過密化による市域拡大構想により、特に熱い視線が注がれている地域とも言われています。
モントルイユにある映画館「Cinéma Le Méliès」は<トートロゴス3>や<即興のエクササイズ>を演奏したGOLが衣笠貞之助監督「狂つた一頁 」の即興演奏をしたり、最近では「吉田喜重レトロスペクティブ」として監督夫妻を招いたりと、かなりアクティブな映画館でもあるようです。
さて、そんな最近の「アツい」モントルイユを舞台にした映画がロマーヌ・ボーランジェ 、フィリップ・レボ夫妻による" L'Amour flou "(2018)。
倦怠期の夫婦の「フランス式家庭内別居」を描いたこの作品は、実際に二人が夫婦であり、また夫妻の身内がどんどん登場することもあって時にスキャンダラスでありながら、それでいて笑いとエスプリを感じずにはおかせないレア感あふれる佳作に仕上がっているそう。
モントルイユに注目した作品は2012年にも「 QUEEN OF MONTREUIL 『モントルイユのクイーン』」(日本未公開)がありましたが、今回のL’Amour Flou はぜひ日本で公開して欲しいと思います。
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