全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。
長らくお待たせしましたが、本日もプレスク・リヤン協会から届いた資料をもとに、先日のミラノの「ほとんど何もない展」レポートに引き続き、「今秋のリュック・フェラーリ関連イベント紹介」として、ロンドンのカフェ・オト(Cafe OTO)で2017年9月10日に開催されたブリュンヒルド・フェラーリさんのコンサートの模様をお届けします。
2008年にオープンして以来、素晴らしいアーティストを続々招聘していることで、今やヨーロッパのみならず、世界中にその名を知られているカフェ・オト。ロンドン中心部からちょっぴり離れたダルストンにあります。そんなカフェ・オトが今回招待したのは、2010年の”Tranquilles Impatiences”の発売以来、特にヨーロッパを中心に各地でコンサートや講演、また<Luc Ferrari, Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005)>の出版など、表舞台においても精力的に活躍しているブリュンヒルド・フェラーリ。
カフェ・オトについては、2016年にウェブマガジン”independ”のインタビューでオーナーである山本景子さんが詳しく語って下さっています。
independ.tokyoロンドンの人たちは文化的な多様性を理解していますし、カルチャーに対してリスペクトを持っています。 - independ
こちらは2009年の大友良英さんのブログ。
今日はロンドンの新しいスペース cafe OTO について少しばかり - 大友良英のJAMJAM日記
読み比べると、カフェ・オトがロンドンの音楽ムーブメントを支えるハコのひとつになった理由がなんとなくわかってくる気がします。
さて、コンサート当日はあいにくのお天気だったようですが、ダルストンはお祭り騒ぎ。
1年に1度のHackney Carnival ということで、商店街にはいくつものサウンドシステムが設置され、街路を満たしたジャークチキンの芳香とレゲエの巨大なサウンドがうねりをたててあふれかえり、時折そこからわずか300メーターほどしか離れていないカフェ・オトにまで届いてきました。
ブリュンヒルドさんはリュック・フェラーリを筆頭とした“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)の創設者のひとりとしてアンリ・フーレス、ダビッド・ジスらと名を連ね、また主にヘールシュピール作品の分野でリュック・フェラーリと共同制作を行うだけではなく、自身でも作品を制作してきたことは、フランス、ドイツを初めとしてヨーロッパでは既に知られていたのですが、不思議なことになぜか日本では数年前までほとんど紹介されてきませんでした。
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2016年にはスペインのカタルーニャラジオでBrunhild Ferrari特集も放送されました。
ブリュンヒルドさんの作品は今年の初めにベルギーのKraakフェスティバルでも好評を博しましたが、今回は単独ライブということで、リハーサルにも熱が入ります。
あいにくのお天気とも、カーニバルの喧騒とも関係なく、ただただ音楽好きのロンドンっ子たちがこの機会を逃すまいと詰めかける中、Hackney Carnival の終了を待ってコンサートは始まりました。
国際都市ロンドンだけあって、お客様にはイギリス以外からいらっしゃった方も。
スピーチのあと始まった1曲目はCD-Box Programme Communから、”Brumes Du Réveil”。
ホールに時折余韻のように届くサウンドシステムからの轟音をも抱擁するかのように、ブリュンヒルドさんの指は正確にコンソールを操っていきます。
休憩の後、限界まで照明が落とされると、路面から差し込む街灯とキャンドル以外に手がかりもないホールでは、観客は自分の耳だけをたよりにより深く、ブリュンヒルドさんの世界に溶けこみます。
曲はKraakフェスでも大トリとなった作品、Tranquilles Impatiences。
2014年の神戸・東京での来日コンサートでも演奏された、日本のファンの間でもなじみ深い1曲です。
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曲が終わっても夢と現実にはさみこまれたままの観客は咳一つせず、やがて照明がゆっくりと戻るにしたがって、おおきな拍手が湧き上がりました。
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