全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。
今日はこの秋にミラノで開催された「ほとんど何もない展 〜リュック・フェラーリとブリュンヒルド・フェラーリによるコラージュとフォトコラージュ作品 〜」の模様をご紹介したいと思います。
この展覧会はミラノのERRUTUMギャラリーで9月19日から10月10日まで開催されました。
spazio ERRATUM | Photograveures e Photomontages di Luc e Brunhild Ferrari - MADE4ART
この「ほとんど何もない展」では1950年代から70年代頃までにリュック・フェラーリが制作したコラージュ作品やドローイング、そしてブリュンヒルド・フェラーリが2000年代にリュック・フェラーリのために制作したフォトコラージュが展示されました。
ブリュンヒルドさんのフォトコラージュ作品についてはこれまでにもINAから出版されたPortraits Polychromes- Luc Ferrari- やアルバムジャケットなどで知られてきましたが、今回展示されていたのはブリュンヒルドさんがリュック・フェラーリの誕生日のために特に制作した作品たちの中から選りすぐったものが紹介されました。
association-presquerien.hatenablog.com
また、若き日のリュック・フェラーリによるコラージュ作品やドローイングなどからは、彼の作曲全般に通じる何ものかを感じ取ることができるかもしれません。
これらの作品は現在まで未公開だったもので、今回のミラノで初めて展示されました。
(作品カタログ(後述)より。画像保護のためにwater markを入れてあります)
9月18日にはプレイベントとレセプションが開催され、イタリアではじめてとなる「スポンタネ4」が上映されました。
レセプションに来場された方にはシャンパンが振る舞われ、フェラーリのコラージュポストカードやプレスク・リヤン協会で制作されたピンズなども配られたそうです。
今回このイベントを仕掛けたのはERRATUM。
作曲家の Sergio Armaroli(セルジオ・アルマロリ)さんと、ジョン・ルーリー率いるラウンジ・リザースの元メンバーとしても知られるSteve Piccolo(スティーヴ・ピッコロ)さんによる、ゆるやかなユニットです。
ギャラリーではこの「ほとんど何もない展」の作品カタログが販売されていましたが、レアかつ素晴らしいクオリティということもあって瞬く間に完売したために増刷が決まり、間もなく一般向けにも販売される予定になっているとのことです。
ヨーロッパでのリュック・フェラーリ熱の静かな高まりを感じます。
イベント最終日の10日にはSergio Armaroli, Andrea Cernotto, Gabriele Di Matteo, Francesca Gemmo, Steve Piccolo, Walter Prati, Gak Satoの各氏により、ERRUTUMギャラリーで「Tautologos Ⅲou VOUS PLAIRAIT – IL DE TAUTOLOGUER AVEC MOI?(トートロゴス Ⅲ、あるいは私と同語反復するのはいかがですか?)」の演奏が行われました。
この演奏は現在YouTubeで公開中です。(撮影・編集:Fabio Selvafiorita)
演者の創意工夫次第でいくらでも変化する可能性のあるこの作品を、こっちの演奏と比べるのも面白いかも。
再生回数はまだまだ少ないですが、魅力的な方々のちょっと不思議なセッション動画、ぜひバズって欲しいですね。
ERRATUM Tv. LUC FERRARI TAUTOLOGOS III
(おまけ:かって配布された「トートロゴスⅢ」のマッチ)
Musiques dans les spasmes「痙攣の中の音楽」の発売といい、この数年続々と発売されてくる作品といい、近年リュック・フェラーリのこれまで知られていなかった面に次々とスポットが当たり、より若い世代によって次々に新しい情報が発掘され、上演・公開されています。
少なくともヨーロッパにおいては、リュック・フェラーリの芸術的ゲノムが着実に解析され、継承され始めているといえるでしょう。
【関連過去記事】
Vimeoで ”Tautologos Ⅲ”のコンサートが公開中です - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)
Zicamontreuil (モントルイユ図書館) でのリュック・フェラーリの紹介 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)