リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

Prix Presque Rien(プレスク・リヤン賞)2017 のインフォメーション(1)

 

全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

 

2年に1度開催される、リュック・フェラーリが録音したサウンド・アーカイブスを使用した芸術作品によって競われる国際コンクール”Prix Presque Rien(プレスク・リヤン賞)”。

 

いよいよ9月末の「プレスク・リヤン賞2017」の締め切りまで4ヶ月となってきました。

今回のプレスク・リヤン賞2017はこれまでとやや違い、国際標準に合わせた応募仕様となっているために、日本からの応募を考えておられる皆様にとっては若干ハードルが高いものに感じられているのかもしれません。

 

プレスク・リヤン賞の定義自体はこれまでとほぼ同じなのですが、まだ少しわかりにくい点もあるかのかな?ということで、今回はこれまで問い合わせいただいた内容を下に、改めてこの賞の魅力なども含めてお伝えしていきたいと思います。

 

1)作曲作品が優先される?

応募作品にいわゆる「ジャンル」は関係ない、というのはこれまでに何度もお伝えしてきました。

作品の応募に必要となる要件は「プレスク・リヤン協会が公開しているプレスク・リヤン賞2017用のサウンド・アーカイブスを使用して制作した作品」です。

もちろん作品を制作するにあたり、これらの音源を使用しなくてはいけないのですが、どのように使用し、何を制作するのかは制作者の自由と創造性に任されています。

プレスク・リヤン協会の応募要項はジャンルを規定していないのに、なぜか「(作曲作品の)ジャンル外ですが」という点を強調した応募もこれまでにあったようですが、それが選定に対して有利不利になることはありません。

 

2)「新しい才能」=アマチュア向けの賞なのでは?

賞の選考にあたって、アマチュアかプロか、そういう点は考慮の対象になっていません。また、年齢も対象になっていません。リュック・フェラーリは生涯現役でした。また、これまで3回の受賞者、最終選考を通過した作者の方には既に名のある方もおられます。どんな人でも自由にエントリーできる。それもこの賞の魅力のひとつだといえます。

 

3)PayPalでの振込ができないんだけれど

海外と違い、日本ではまだクレジットカードなどでの決裁が普及していない点もあります。

もし諸事情により、PayPalでの振込がどうしても出来ない方は、日本支局までメールにてご相談ください。

 

4)なぜ録音アーカイブを公開しているの?

プレスク・リヤン賞の魅力でもっとも大きいものの一つに、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari)の音源を公式に自由に扱いながら作品を制作できる、というところにあります。

例えば「プレスク・リヤン賞」を単なる作曲作品のコンクールであるとか、また、ジャンル別に分けたそれぞれのコンクールにすることだってできたはずです。

しかし、プレスク・リヤン賞はそうはなりませんでした。

ブリュンヒルドフェラーリとプレスク・リヤン協会がなぜプレスク・リヤン賞のためとは言いながら、リュック・フェラーリの録音アーカイブスの一部の公開に踏み切ったのかというと、それはまず、この賞にエントリーし、作品を制作する方に対しての「ともに芸術家同士である」という立場への敬意や信頼、そして共感という、お互いの関係性に基づいているものであり、そして、それらが存在する限りにおいて作品は正しくその照射となるであろうという、芸術家同士の歴史的継続的な連帯感のあらわれです。録音アーカイブスはもちろんリュック・フェラーリの著作物ではありますが、この賞における公開の経緯には、巷にみられるこれみよがしな主張や、批判的な観点などがあったことはなく、芸術家に対する線の太い信頼があります。リュック・フェラーリの理解において、この点は確認しておかれるべきことだと思います。

そしてこれはまた、リュック・フェラーリが「Archives Génétiquement Modifiées(遺伝子組み換えアーカイブス)」などで行っていた創造的試みの延長線にある、ともいえるでしょう。

作品の中において、改めて自らの音に出逢いなおすという試みをリュック・フェラーリは行いました。その新鮮な感動を、追体験という形ではなく自ら創出出来る、そういった「楽しみ」を感じることができるのはこの賞に限らず、作品制作における大切なことではないでしょうか。

 

プレスク・リヤン賞2017のエントリーの手順に関しては、日本語でも詳細にお知らせしております。ぜひこちらをご覧ください。

association-presquerien.hatenablog.com

 

【関連作品のご紹介】

Prix Presque Rien Prize

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Vol. 2-Archives Genetiquement Modifiees/Societe

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Archives Genetiquement Modifiees / Societe II by Luc Ferrari (2009-01-10) 【並行輸入品】

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