リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

「フェラーリ地帯(ライン)」(第2回;Jacques Brissot)

 

全国2万5千人のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

今日は「リュック・フェラーリ地帯」改め「フェラーリ地帯(ライン)」の第2弾をお届けします。

 

 

フェラーリ地帯」はリュック・フェラーリの友人知人ご縁のある方にスポットをあて、順不同にじんわりと紹介していく企画です。もちろんリュック・フェラーリの「関係者」と一口に言っても恐ろしい数がいる訳で、ここに紹介する人物以外にも重要であったり、有名であったりする人物がいるということは当然ながらご了承いただけたらと思います。

また、この紹介はあくまでリュック・フェラーリと彼らの関係に簡単に触れて興味を持っていただく、というのが目的ですので、専門的分野の方から見れば至らない点も多々あるとは思いますが、その点もまたご了承いただけたらと思います。

もしこの「フェラーリ地帯」、または当ブログにご寄稿いただける方がいらっしゃいましたら、ぜひ当準備室メールアドレスまでご連絡いただければと思います。

 

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さて今回の

リュック・フェラーリを聴いたら収入が10億円を超えました」

フェラーリ地帯(ライン)」で取り上げるのは前回の「銀盤解説大作戦」でも少し取り上げられていた、映画監督、画家の「ジャック・ブリソ」(Jacques Brissot)氏です。彼はリュック・フェラーリ若かりし頃からの友人であり仕事仲間で、またドイツ出身であるブリュンヒルド夫人にとっては現在最も古いパリの仲間の一人です。

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ジャック・ブリソ氏は1929年3月20日生まれ。

1980年代に画業に専念するのを機に、ノートルダムの近くからパリ郊外のモントルイユに居を移し、83歳の現在でもますます日々活発に作品制作を行っておられます。

 

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ジャック・ブリソ氏についての日本語ウィキペディアはこちら。

ジャック・ブリソ - Wikipedia

 

ブリソ氏は1950年代にパリで行われているコンサートを巡るうちにリュック・フェラーリと知り合ったそうで、リュック・フェラーリブリュンヒルド夫人の非常に有名なこの写真(これは本当はもう少し大きな写真なんですが……)もブリソ氏の撮影によるものです。

 

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ジャック・ブリソ氏とリュック・フェラーリは1961年の「エジプト、おおエジプト」、カンヌ国際映画祭に出品された1962年の「エジプト、おおエジプト2」、バイロイトワーグナー音楽祭のドキュメンタリー映画「巡礼者たち」といった映画で組んでいます。

 

またテレビ局からの委属作品としてPierre Pascal, Konrad Lorenz といった科学者へのインタビューやドキュメンタリー映画を制作しておられましたが、以前からの夢であった自分のイメージの具現化の仕事をするために映画監督から画家へと転身しましたが、リュック・フェラーリとの親交はますます深まります。

 

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彼の作品はBrissolerと呼ばれる独自の方法で制作されたコラージュが主なのですが、それ以外にも立体作品の制作など、多岐に渡っています。

時には2メートルをはるかに超える大きな作品もあり、かつまたそれのどれもが精緻に組み立てられた作品ばかりです。なお、かっては全てがハサミとノリで組み立てられていたようですが、最近はデジタル制作に軸を移されているとのことでした。

 

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彼の作品は全体的な整合性の美しさもさることながら、細部に至り時にエロティックであり、時に諧謔的であり、時に風刺的であり、それでいて詳しく見れば見るほどに、それを覗いている自分自身にすらおかしみを感じさせてしまう作品を造っておられます。

 

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2012年にはモンマルトル、ピガールそばにある”Musee de l'Erotisme”(エロティシズム美術館)でブリソ氏の大規模な回顧展が開催され、現在でも常設展示としていくつかの作品が鑑賞できるようです。

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”Musee de l'Erotisme”(エロティシズム美術館)についてはここから

 

Accueil

 

(「外国語はちょっぴり苦手だけれど色好み」という方に朗報、ちゃんと日本語が用意されております)

 

このブログを読まれているオトナのみなさまはもちろん「エロティシズム」が人間の生活にとってどれほど重要なものかは既にご存知だと思うのですが、ここでは美術史ならびに歴史的な側面から見たエロティシズムの展示や、当時のフィルムにつけられた伴奏の楽譜などもあったりして、内容の濃い美術館です。

また、このエロティシズム美術館には日本人アーティストの作品も展示されているようです。

 

ブリソ氏はリュック・フェラーリの作品以外にも様々なアーティストのジャケットを手がけておられます。

最後に一枚、ブリソ氏が手がけられた『GOL』のアルバムジャケットをご紹介しましょう。

 

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写真

 

この作品はGOLとブリュンヒルドフェラーリ女史によるレコード作品です。

レコードのご紹介。

Gol with Brunhild Ferrari - Exercices dimprovisation [LP] - 電子音楽とエクスペリメンタル・ミュージックのお店 S.O.L SOUND

 

 

写真を大きくみたい方はこちら。

Exercices d'improvisation - Luc Ferrari, Gol, Brunhild Meyer-Ferrari - OUT OF PRINT!

 

ブリソ作品を実際に購入するのは難しいでしょうが、レコードなら比較的簡単に手に入りますね。

 

「レコード棚にツヤが出る」リュック・フェラーリ作品を一枚お部屋にいかがでしょうか?

 

 

それでは、次回の「フェラーリ地帯」もお楽しみに!

 

 

【参考過去記事】

新企画「リュック・フェラーリ地帯」(第一回:palislike) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)