リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

音遊び・録音の記憶 〜センチメンタルな思い出〜

私が音に興味を持ったのは、恐らく2〜3歳の頃だと思う。
父親のクラシック・ギター、ビー玉が私のオモチャだった。
ギターの弦の上にビー玉を転がして、変な音がするのを楽しんでた。
父親はカセットテープレコーダーで私の声を録音してくれていた。
恐らく2〜3歳頃、私のオリジナルの歌を何曲か録音してくれていた。今聴くと、アバンギャルドすぎて笑ってしまう。
カセットテープレコーダーを父親から自由に使わせてもらえるようになったのは、恐らく4〜5歳の時だった気がする。
早速、クラシックギター・ビー玉転がしの即興演奏を録音してみた。録音した音を聴きながら、途中で録音しなおしたり、音を繋いでいった。雑なテープ編集・カットアップといってもいいかもしれない。(残念ながら当時の録音テープは見当たらない・・)
そうこうしているうちに、録音が楽しくて仕方がなくなって、今度は言葉を一文字ずつ録音して繋いでいった。「あ!」「ほ!」「か!」という感じで。短い言葉(というよりも声・音)を繋いでいくと、もはや意味は無く、音の塊のようになっていく。それが面白くて面白くて仕方がなかった。
当時家にあったカセットテープレコーダーは、何故か巻き戻しボタンと録音ボタンを同時押しすることによって、逆再生をしながら録音する、という荒業ができるようになっていた(恐らく壊れていたのかも)。
もはや普通の録音では満足できなくなった私は、逆再生録音ばかりおこない、とにかく何でも逆再生で聴いて笑い狂っていた。

良くも悪くも、そんなこんなで今の自分がいるのだな。

音への興味を抱かせてくれたのは、紛れもなく、今は亡き私の父親だった。

(石上和也)

*11月17日(土)神戸ジーベックで上演する私・石上の作品は、父親をテーマにした作品です。詳細は改めてアップいたします。