リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

ライブハウスは続くよどこまでも

全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

作曲家の渡辺愛です。 

 

疫病の流行で世界は不安と混乱の渦に飲み込まれています。

みなさまの生活にもダイレクトに影響していることと思います。

私もかれこれ1ヶ月以上引きこもりの日々ですが、子供も家にいるため何一つ進まず、職場は職場で大混乱で先行き不透明といったカオス。

 

みんな、大変。

そんな「大変」のなかでも、文化施設の受けた打撃は少なくありません。

 

リュック・フェラーリ生誕90周年記念企画として昨年フェスティバル「Stereo Spasms」を堂々8日間敢行した、ファンにはお馴染みのロンドンのライブスペース「Cafe OTO」もそのひとつ。コロナウイルスの影響で存続の危機に晒されています。

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2019年2月12日のCafe OTO "Stereo Spasms Festival -Celebrates the 90th Birthday of Luc Ferrari (7th-14th February 2019)"より

 

ご想像の通り、現在、私たちは大きなプレッシャーにさらされており、Cafe OTOがこの状況を乗り切るために全力で取り組んでいます。 この状況の影響は、私たちのような小さな会場にとって非常に深刻であり、私たちが乗り切るために得られるすべての支援を必要としています。(Cafe OTO ウェブサイトより)

 

「コロナウイルス募金オークション」の専用ページも開設されています。現在はオンラインオークションの入札は終了しておりますが、Paypalを使ったCafe OTO自体へのドネーションは継続して歓迎しているようです↓↓。

 

We need your help - please DONATE

 

ロンドン・カルチャーのみならず、日本を含む世界中の多様なアーティストを紹介、発信してきた音楽文化の重要な発信拠点を救うため、ぜひ寄付にご協力ください。

 

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ところでこのオークションページ、見ているだけでもちょっと楽しいです。Cafe OTOゆかりのミュージシャンがこぞって私蔵の品を並べるさまはさながら蚤の市か骨董市か…まるでアーティストの部屋の中を覗いているよう。

 

「Stereo Spasms」出演者でもあるデヴィッド・トゥープさんが自身のレーベルから出したLPや…。

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(Cafe OTO ウェブサイト covid-19オークションページより)



 

Bill Cliffordが80年代に描いた、フェラーリ・ファンには馴染みの深いジャズ・レジェンド、セシル・テイラー像。

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(Cafe OTO ウェブサイト covid-19オークションページより)


 

我らがブリュンヒルドフェラーリも二品出品しています。「回路の詩神」ステッカーと「プレスク・リヤン賞」のポスター群。

 

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(Cafe OTO ウェブサイト covid-19オークションページより)

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(Cafe OTO ウェブサイト covid-19オークションページより)


鈴木昭男石橋英子坂田明カール・ストーンなど日本在住のミュージシャンからの出品も多々。私の注目はこちら。Suzueri & Fiona LeeによるFtarri5周年記念盤(Ftarriは昨年12月に行われたSTEREO SPASMS東京企画の会場でもありました)や、Miki Yui, Chiharu MK, コンピ「A deep Mysterious Tone'」など、日本の注目女性アーティストが多く詰め合わされたLOTです。

 

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(Cafe OTO ウェブサイト covid-19オークションページより)

 

そして、下世話な私はやっぱり高値のついた品が気になるわけで…

 

STEREO SPASMS首謀者の一人サーストン・ムーアのギター用ペダル、最高額約24万5千円。

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(Cafe OTO ウェブサイト covid-19オークションページより)

 

ジム・オルークの未発表曲シングル・エディション(なんとご自身によるハンドメイドだそうです...他では絶対買えないとの煽り文が...ヤバイ)、最高額約29万6千円。

 

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(Cafe OTO ウェブサイト covid-19オークションページより)

 

「Under The Skin」オケ原譜、最高額約16万8千円。

 

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(Cafe OTO ウェブサイト covid-19オークションページより)

 

New Orderの「shellshock」アートワークフォト、最高額約13万4千円。

 

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(Cafe OTO ウェブサイト covid-19オークションページより)

というわけで、お籠りのおともにぜひCafe OTOのページ、眺めてみてくださいませ。

 

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最後に日本のお話も少し。

「水から救われたアーカイブ」でフェラーリとコラボした音楽家大友良英さんが、こんなツイートをしています。

 

東京都は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、都の休業要請に応じて、施設の使用停止を停止した事業者に協力金を支給すると発表しましたが、所謂「無観客配信」は休業とはみなされず、協力金の対象外とする可能性がある、というもの。

「クラブやライブハウスが苦肉の策として行い、しかもほとんど利益にはならない無観客配信を営業とみなして支援を断ち切るのはおかしくないですか?」と声をあげています。

 

感染拡大防止のために歯をくいしばっているライブハウスやミュージシャンに、補償が行き渡りますように。

署名活動のリンクも貼っておきます↓。

 

 

それではみなさま、しばらく自粛が続きますが、どうぞ健康第一で安全にお過ごしくださいますよう、お祈りしています。

 

追記:上記、動きがあったようです↓。声が届いてよかった!