リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

2019年11月のリュック・フェラーリ関連イベント(米国・欧州・日本)

 

 

全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

 

2019年2月5日のリュック・フェラーリの誕生日から始まったフェラーリ生誕90周年<STEREO SPASMS>もいよいよ佳境に入って来ました。

 

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今月はニューヨークとパリ(モントルイユ)でリュック・フェラーリ生誕90周年イベント、またベルギーのブリュッセル、とドイツのケルンでもコンサートが開催されます。

今月の月報は先月の月報ではお伝えできなかった、「先月の取りこぼし」と「先月のご報告」も含めて濃いめです。

 

プレスク・リヤン協会日本支局公式ブログでは、毎月冒頭にAssociation Presque Rien(プレスク・リヤン協会)本部(パリ)の公式ウェブサイト に掲載されている情報をもとに、その月、世界中で開催されているリュック・フェラーリに関連するイベントについてお届けしています。

 

 

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11月1日現在、サイトに掲載されている11月のイベントは4件。

なんと今月はニューヨークで、デヴィッド・グラブス David Grubbs)さんらの尽力により、そうそうたるアーティストが集結したリュック・フェラーリ生誕90周年のイベントが開催されます!

 

pioneerworks.org

Luc Ferrari: Stereo Spasms | Pioneer Works

 

11月18日、19日の20時より、ニューヨークのブルックリンにある文化センター Pioneer Works (159 Pioneer Street – Brooklyn, NY)にて、 <Luc Ferrari: Stereo Spasms > が開催されます。

 

18日にはProgram Oneとして、

・Et tournent les sons dans la garrigue (そして音はガリーグを巡る)(1977)Stereo tape and free instrumentation

Tania Caroline Chen: piano

David Grubbs: electric guitar

Eli Keszler: percussion

Jon Leidecker: electronics

Thurston Moore: electric guitar

Matana Roberts: alto saxophone

 

また、

・Les Proto Rythmiques (原リズム的なもの)(2004-5)

For two DJs

Jon Leidecker

Keith Fullerton Whitman

によって演奏されます。

 

また19日には

Program Twoとして

 

• Ephémère (つかの間の)(1974)

Tape alone or to be played with various instruments (free instrumentation)

Four-channel recorded realization by Jim O’Rourke (2019)

• Tautologos III (トートロゴス3)(1969; Chicago Version, 2001)

For any group of instruments

Tania Chen: electronics,  David Grubbs: electric guitar

Eli Keszler: percussion, Jon Leidecker: electronics, Thurston Moore: electric guitar

が演奏されます。

 

このイベントに連動してマンハッタンのイーストビレッジ周辺、イースセカンドストリート南東32セカンドアベニューのAnthology Film Archivesでは21日から27日までの間、<LUC FERRARI: RECHERCHES FILMIQUES>として、4プログラムの映画上映が行われます!

 

anthologyfilmarchives.org

Anthology Film Archives : Film Screenings

 

カフェ・オトの対談ではブリュンヒルド夫人から存分に貴重な話を引き出してくださったデヴィッド・グラブスさん。

今回のコンサートはアメリカで開催されるリュック・フェラーリに関するイベントとして、最大級のものになるようです。

 

次に、20日の20:00にブリュッセルのConservatoire Royal de Bruxellesにおいて、Ars Musica festivalの中で、クセニャ・ペストヴァ・ベネット(Xenia Pestova Bennett)さんのコンサートがあります。2月のカフェ・オト(cafe OTO)や、最近では10月のロンドン大学でも小気味よい魅力的なパフォーマンスを披露されたそうです。

曲目は

• Collection de petites pièces, ou 36 enfilades pour Piano et Magnétophone (小品コレクション、あるいは36の続き、ピアノとレコーダーのための)(1985 – 45 min)

がfor le 90th anniversary of Luc Ferrariとして演奏されます。

 

 

 

www.arsmusica.be

 

一方、パリ郊外のモントルイユでは、28日と29日に< LUC FERRARRI STEREO SPASMS > が開催されます!

まず11月28日の20時30分からは、世界中のアーティストから注目されているライブハウスInstants Chavirés( 7 rue Richard Lenoir Montreuil、Metro 9 Robespierre)において、ピアニストのミシェル・モレル(Michel Maurer)さんを迎え

• Collection de petites pièces, ou 36 enfilades pour Piano et Magnétophone (小品コレクション、あるいは36の続き、ピアノとレコーダーのための)(1985 – 45 min)

 • Fragments d’un journal intime (日記の断片)(1980-1982 – 20 min)、

 

www.instantschavires.com

 

そして翌日29日の20時30分からは場所を地下鉄9号線Mairie de Montreuilに移し、Le Nouveau théâtre de Montreuil においてエリケム(eRikm)さん 、スキャナー(Scanner)さん、そして元L'ensemble Laborintus(アンサンブル・ラボリントス)のハープ奏者であったエレーヌ・ブレシャン(Hélėne Breschandさんによる以下のプログラムが組まれています。

 

eRikm & Scanner – electronics

• Archives sauvées des eaux – Exploitation des concepts n°1 (水から救われたアーカイブスー概念の開拓1)(2000) – 48 min

 Hélène Breschand – harp

• À la recherche du rythme perdu (失われたリズムを求めて)(1978) – 20 min

そして

eRikmさんによる

• Le piano englouti (2012) – 17 min

by Brunhild Ferrari

が演奏されます。

 

www.instantschavires.com

 

シンプルかつ粋なフライヤーのデザインには、フェラーリの仕事への敬意はもちろん、さらに彼の仕事の隅々にまで目を配り、そのエッセンスを昇華させ続けているブリュンヒルド夫人への目配せを感じずにはいられないとのこと。

 

 

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同じく29日には、ケルン大学内の音楽研究所(Musikwissenschaftliches Institut der Universität zu Köln Auditorium)において、リュック・フェラーリ生誕90周年記念として、インスタレーション「ミュージック・プロムナード」の展示が行われる模様です。
監修は Leopoldo Sianoさん。

 

 

【先月の取りこぼし&ご報告】

 

続いて、先月の月報でお届けできなかったリュック・フェラーリ周縁の動きをご紹介する「先月の取りこぼし」のコーナーです。今月は、10月に開催されたイベントの報告も合わせてお知らせしていきたいと思います。

まず取りこぼしから。

 

10月26日の20時から、ベルリンにあるAkademie der Künsteにおいて、5月にスコットランドグラスゴーのTectonics Festivalでも素晴らしい演奏を見せたMahan Esfahaniさんによる‘Harpsichord and other Keys’コンサートがありました。

演奏されたのは

• Musique Socialiste or Programme Commun for harpsichord and tape

この作品「チェンバロとテープのための共同プログラム」については、ぜひ以下の記事もご参照ください。

 

association-presquerien.hatenablog.com

 

また、10月29日にはロンドンのUniversity of Londonで、上記の「今月のイベントコーナー」でも紹介したクセニャ・ペストヴァ・ベネット(Xenia Pestova Bennett)さんによる

• Collection de petites pièces, ou 36 enfilades pour Piano et Magnétophone (小品コレクション、あるいは36の続き、ピアノとレコーダーのための)(1985 – 45 min)

がfor le 90th anniversary of Luc Ferrariとして演奏されました。

 

 

 

9月の月報で紹介した、タワーレコードのフリーマガジン「intoxicateイントキシケイト」に掲載された椎名亮輔さんによる ”Luc Ferrari Complete Works” の書評がとうとう Mikikiに紹介されました。「intoxicateイントキシケイト」を手に入れることができなかった方も、ぜひこちらからご覧ください。

 

mikiki.tokyo.jp

 

 

サウンド&レコーディングマガジン(リットーミュージック)最新12月号の高橋健太郎さんの連載「音楽と録音の歴史ものがたり71」では「ピエール・シェフェールピエール・アンリの別れた道 リュック・フェラーリが問う具体音」として、GRMC/GRM内の人間関係や音楽機材をとてもわかりやすく、かつ濃密に紹介してくださっています。リュック・フェラーリももちろん登場してきます。サウンド&レコーディングマガジンはWEB版も充実。ぜひこちらからご一読ください。

 

www.rittor-music.co.jp

 

 

続いて先月のご報告です。

大阪大学で10月20日に開催された日本音楽学会第70回全国大会。

リュック・フェラーリ生誕90周年記念シンポジウム「フェラーリの創作活動の多面性―その検証と現在時への可能性―」では、椎名亮輔さん同志社女子大学教授・プレスク・リヤン協会日本支局長)そして鈴木治行さん(作曲家)、クリストフ・シャルルさん(武蔵野美術大学教授)をパネリストに迎え、独自の視点からの研究発表および、フェラーリに関する貴重な話満載のシンポジウムが行われました。内容の濃さに時間が追いつかず、現在続編が企画中とのこと、まだまだ楽しめる機会もありそうです。

 

また10月29日に京都の同志社大学クローバーホールで開催されたリュック・フェラーリ生誕90周年記念企画「特別講座:挑戦と継続~ヨーロッパの音楽教育が作り上げる力2」では、講師に長門洋平さんと椎名亮輔さんをお迎えし、参考上映されたリュック・フェラーリ&ジェラール・パトリスによる「<大いなるリハーサル>シリーズ」からの「セシル・テイラー編」を手掛かりに、どちらも生誕90周年を迎えているセシル・テイラーリュック・フェラーリが後世に与えた音楽的影響など、こちらもとても幅広く奥の深い話をうかがえたそうです。

どちらも関西で行われた催しでしたが、遠方からご来場いただいた方々もおられたとのことで、日本でのフェラーリに関する熱い視線も感じることができる催しになっていたようです。

 

最後に支局Twitter でもお伝えしましたが、10月22日、パリのTrabendoで開催されたサーストン・ムーア・グループのコンサートでは、冒頭、ステージ上から満員の客席に向け、サーストン・ムーアさんが「フランスの作曲家リュック・フェラーリブリュンヒルド夫人」にオマージュを捧げるという一幕があったそうです。会場ではサーストン・ムーア最新作<Spirit Counsel>と並んで”Luc Ferrari Complete Works” も販売されていたそうです!

 

 

Association Presque Rien(プレスク・リヤン協会)の公式ウェブサイト は世界中のリュック・フェラーリに関する情報や写真、試聴など、公式サイトでしか出せない魅力的な情報を発信しています。

英語仏語の他、一部ページは日本語に対応しており、翻訳を楽しんでいただけます。

魅力満載の本部ウェブサイトの楽しみ方をまとめてみました。ぜひこちらの記事もご参照のうえ、お楽しみください。

 

 

プレスク・リヤン賞2019の審査、そして結果発表もいよいよ迫ってきています。

いよいよ来月の月報は師走のお届けになります。新しい情報は追記で対応する場合があります。

 

 

 

 

 

【関連過去記事】

2019年10月のリュック・フェラーリ関連イベント(日本)(10月11日追記あり) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2019年9月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2019年8月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州・日本・発売情報) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2019年7月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2019年6月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州・日本) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2019年5月のリュック・フェラーリ関連イベント(日本、欧州) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2019年4月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州・ラジオ) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2019年3月のリュック・フェラーリ関連イベント(日本、欧州) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2019年2月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2019年1月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州・アジア) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)