リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

ミラノ、アルセナーレ劇場での"Tautologos Ⅲ"コンサートのレポート

 

全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

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© Emanuela Giurano [Teatro l'Arsenale, Milano].

 (左から、Andrea Cernotto, Walter prati, Gabriele Di Matteo, Sergio Almarori)

 

今日は3月10日、ミラノアルセナル(アルセナーレ)劇場(Teatro Arsenale)で行われた「トートロゴス3」公演の模様をお伝えします。

昨年開催されたSergio Armaroli(セルジオ・アルマロリ)とSteve Piccolo(スティーブ・ピッコロ)の両氏による、Erratumギャラリーでの一連のリュック・フェラーリ企画や「トートロゴス3」の演奏動画について、昨年記事「フェラーリゲノムの最先端〜ミラノの「ほとんど何もない展」から」でもお伝えしましたが、今回は「トートロゴス3」の公演が、前回より規模を拡大した形で開催されました。

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会場となったのは、13世紀に教会として建造された歴史的建造物である、アルセナル劇場(Teatro Arsenale)。

 

 

"TAUTOLOCAL"の文字が浮かび上がった会場はステージ、アリーナ、バルコニーと大きく3分割され、会場のあちこちに配置された演台を囲むようにして観客は席を取りました。

 

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 © Emanuela Giurano [Teatro l'Arsenale, Milano].

(画面左から一人おいてSergio Almarori,  Gabriele Di Matteo, Walter prati, Francesca Gemmo) 

演者の数はプログラムに記載されているだけでも17人。

 

・Sergio Armarori    (Mbira Amplificata)

・Claudio Chianura  (Elettronica)

・Francesca Gemmo (Kalimba)

・Mario Mariotti  (Tromba)

・Steve Piccolo (Vose and electronic devices)

・Walter prati (Cello)

・Gak Sato (Theremin)

・Andrea Vigani (Violino)

・Gabriele Di Matteo

・Andrea Cernotto

・Veronica Del Vecchio

・Greta Di Lorenzo

・Ian Gualdani

・Allesandro Pozza

・Margherita Serra

・Barbara Villa

そしてなんと、今回はパリより

・Brunhild Ferrari    (Pianoforte)が参加するという、嬉しいサプライズ。 

開始の合図とともに、お揃いの”TAUTOLOGOS Ⅲ  Luc Ferrari”T−シャツを着込んだ演者が会場に入ってきました。

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© Emanuela Giurano [Teatro l'Arsenale, Milano].

(舞台を行くBrunhild FerrariとSteve Piccolo)
 

 

「トートロゴス3、あるいは私と同語反復するのはいかがですか?(Tautologos Ⅲ ou Vous plairait-il de tautologuer avec moi ?)」は1969年の作品。この作品についてとても簡単に説明すると、演者は事前に決められた演奏時間と休止時間と回数に沿ってそれぞれの楽器、または動きなどを演奏します。こう書いてしまうと身も蓋もありませんが、その時間はすべて頭の中でカウントしなくてはいけないので、演者は相当大変なようです。

 

熟練の楽器隊による演奏はもちろん、またアルセナル劇場付属演劇学校の若手の劇団員によるパフォーマンスも見応え十分、約1時間の公演はまばたきするのも惜しいような、緊張感あふれるものになったようです。

17人の熱演と、Marina Spreaficoさんをはじめとするスタッフに向け、大きな拍手が起こりました!

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© Emanuela Giurano [Teatro l'Arsenale, Milano].

 (Gabriele Di Matteo, Gak Sato, Brunhild Ferrari

 

 

当日配布のプログラム・ノートはこちら。

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Web版

Tautologos | Arsenale

 

 

今回出演されたWalter Prati,Francesca Gemmo, Sergio Armaroliのみなさんによる” Exercises D'Improvisation” 即興のエクササイズ」のCDが発売されました。

日本ではまだ入荷されていないようですが、発売されたらぜひ!

 

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Schiaffini* - Prati* - Gemmo* - Armaroli* - Luc Ferrari Exercises D'Improvisation (CD, Album) at Discogs

 

 

 

 

(おまけ:楽屋のオフショット)

 

 

 

【関連過去記事】

 

フェラーリゲノムの最先端〜ミラノの「ほとんど何もない展」から(動画紹介あり)〜 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

リュック・フェラーリの”Cycle des Souvenirs”(ミラノ)の報告です。 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)