リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

(Vimeo)Luc Ferrari, Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005) (痙攣の中の音楽)刊行イベント

 

全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

 

今日は先日、パリ郊外アルフォールビルにある“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)で開催された、ブリュンヒルドフェラーリによるリュック・フェラーリの原稿集、”Luc Ferrari, Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005) "(痙攣の中の音楽)(les presses du réel社 2017)の発刊イベントについてお伝えしていきます。

 

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この本について、日本支局では、椎名亮輔さんの書評をお届けしていますので、こちらの記事もぜひご覧ください。

 

association-presquerien.hatenablog.com

 

“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)協会はリュック・フェラーリによって1984年にパリ郊外のヴァンブに設立された団体(その後Alfortville / アルフォールビルに移転)で、現在は国立音楽創作センター(CENTER NATIONAL DE CRÉATION MUSICAL)として、主にフランス国内における音楽芸術の発展における重要な位置を担いつつあります。

また一昨年より建物内部の大改造を行っており、これまで録音スタジオとして活用されてきた<スタジオ・ジョン・ケージ>が、コンサートにも使用出来るような形に改装されました。(このスタジオは一昨年の改装直後に「プレスク・リヤン賞2015」のコンサート会場になったことで記憶しておられる読者の方も多いでしょう)

 

 Alfortvilleの街にはこのポスターがいっぱい貼ってあったそうですよ。

 

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今回のイベントはこの建物内のStudio John Cageで開催されました。

 

 

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↑(2013年)

 

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↑(2017年)

 

 

先日正面に大きな看板が設置されたそう。

 

 

ディレクターのWilfried Wendling(ヴィルフリード・ヴェンツレン)さんによる簡単なあいさつの後、イベントはまずリュック・フェラーリも出演する、1962年制作、ジェラール・パトリス監督による”Spontané 4”の上映から始まりました。

長らく行方不明になっていた後、パトリス監督旧居で家族によって発見されたこの作品は、日本でもかって上映されたことがあるので、ご記憶の読者の方も多いでしょう。

ダンディな若き日のリュック・フェラーリはもとより、パルメジアー二やコンスタンタン・シモノヴィッチの姿も新鮮です。

リュック・フェラーリ監督作品が日本で初めて東京と京都で特別上映!(その1) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

続いて前ディレクターで、“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)の創設メンバーのひとりであり、またリュック・フェラーリの友人でもあるDavid Jisse(ダヴィッド・ジス)さんと、ヴェンツレンさんによる共同作品が上演されました。

この共同作品はジスさんがこの本の朗読とボイスエフェクト、さらにプリペアド・ピアノの演奏を、また、リュック・フェラーリの音源エフェクトならびにサンプリングをヴェンツレンさんが行いました(この音源の中にはプレスク・リヤン賞2017のサウンド・アーカイブも使用されたとのことです!)

これによって会場には時空を超えた「『回路の詩神』歴代トップ3による夢の共演」が実現することになったのです。

演奏はもちろん、写真からも、エレガントでダンディなリュック・フェラーリの遺伝子を濃厚に感じさせる二人の共演のオーラが伝わってきます。

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また、この作品の上演にあたってお客様はすべての椅子に備え付けられたヘッドフォンで作品を聴取するというスタイルが採用されました。このアイデアはジスさんの発案によるものだそうです。

 

 

演奏の終了後、この本”Luc Ferrari, Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005) "(痙攣の中の音楽)の著者、編者であるBrunhild Ferrari(ブリュンヒルドフェラーリ)さんも招かれ、3人によるトークセッションが行われました。

壇上ではこの本の出版に至る経緯や逸話、また編集に関わり、またJacqueline Cauxさんの本、” Presque Rien avec Luc Ferrari ”を英訳したJérôme Hansenさんのミステリアスな失踪についても触れられていたそうです。

 

さて、この上演の模様を今回、プレスク・リヤン協会公式Vimeoでご覧いただくことができるようになりました!

以下のリンクより、オトナの魅力たっぷりな「夢の共演」をぜひご覧ください!

 

vimeo.com

SOIRÉE DE LANCEMENT POUR LA SORTIE DU LIVRE DE LUC FERRARI(28 avril 2017) on Vimeo

 

 

終演後、スタジオ・ジョン・ケージ横に併設されたカフェ・スペースで開催されたアフターパーティーでは、和やかな雰囲気の中で、ワインやシャンパンの他に、気仙沼の日本酒「蒼天伝」も振る舞われていたそうです。

 

 

 

【関連過去記事】

 

Luc Ferrari Musiques dans les spasmes, Écrits (1951 – 2005)(「痙攣の中の音楽」)レビュー - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

 

「フェラーリ地帯(ライン)」(第4回;“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会) ) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

 

フランスでのプレスク・リヤン賞2015(prix Presque Rien 2015)コンサートと賞状授与式 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

 

La Muse en Circuit(回路の詩神協会)のディレクター交代式 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)