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リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

Brunhild FerrariとAlice Bergerのフランスのラジオ番組” Supersonic ”(2016年3月26日放送)

海外イベント France 作品紹介 Radio/podcast

 

全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

 

以前この記事の中でも少し触れておいたフランス・キュルチュール(ラジオ・フランスの文化チャンネル)のラジオ番組「シューペル・ソニック(Supersonic)」(DJ:Thomas Baumgartner:トーマス・バウムガルトネル)

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Supersonic : podcast et réécoute sur France Culture

フランス・キュルチュール - Wikipedia

 

2016年3月26日の放送

" Bribes & traces : les biographies sonores de Sophie Simonot + la complicité de Brunhild Ferrari & Alice Berger "

にはブリュンヒルドフェラーリさんとアリス・ベルジェさんが出演し、本年2016年6月に設立10周年を迎えるプレスク・リヤン協会 (Association Presque Rien)で行われているリュック・フェラーリの録音アーカイブ作業についてのお話をされました。

 

「どんな話だったか、ちょっと知りたい!」という方に向けて、あくまで参考意訳なのですが、どのような内容だったかを簡単に紹介しておきたいと思います。プレスク・リヤン協会の仕事の一端を理解していただく上でもよいお話になっていると思います。(以下敬称略)

 

 

 

放送はまず、フェラーリの未発表曲である《階段を下りる女性》の抜粋から始まりました。

 

「これは作曲家で、リュック・フェラーリ未亡人のブリュンヒルドフェラーリとラジオ・フランスで働くアリス・ベルジェへのインタビューである。

二人は、亡き作曲家リュック・フェラーリが遺した録音資料の整理作業を行っている。それはまず、ほぼ1000巻にもおよぶ、すべてのテープをデジタル化する作業であり、2009年8月から2016年まで続いた。」

 

「『アリスのした仕事は素晴らしい』とブリュンヒルドは言う。なぜなら彼女は『単なる音源のデジタル化』にとどまらず、デジタル化と同時にすべての音の「日記」をも作ったからだ。つまり、それがいつ、どこで、どのように録音されたものか、何の音であるのか。彼女はそういったことも同時にカタログ化していったからである。」

 

ブリュンヒルドがGRMのディレクターであったダニエル・テルッジにリュック・フェラーリの資料整理の手助けを依頼した際、テルッジが当時GRMで働いていたアリスに『ひと夏だけ、ポスト・ビリッヒで試しにスタージュ(見習い)としてやってみないか』と誘ったことが全てのきっかけだった。

仕事にとりかかるとすぐ、アリスにはこれが『2年半から3年はかかる仕事だ』とわかった。

アリスは元々音楽を学び、電子音楽の録音や作曲に対しても興味をもっていた。リュック・フェラーリについてはよく知らなかったが、彼について興味を持った彼女は、より彼について知ってみたいという好奇心から、この仕事を引き受けることにしたのだった。」

 

ブリュンヒルドはポスト・ビリッヒで行われたデジタル化の全ての作業に立ち会った。彼女はリュックが録音した作品すべての創作の現場に立ち会っており、また作品に<声>として参加もしていたので、その作業に立ち会うことは彼女にとって、「すべてを再び生き直す」ことでもあった。」

 

「アリスがアーカイブ化の際に同時に行っていた仕事は、クオリティや内容のメモを取るだけではなかった。特に大事なのはその録音ひとつひとつについてブリュンヒルドによる注釈(どこで録られたか、どういう印象を与えるか、逸話などなど)を加えていったことだ。そしてこの仕事をすることで、アリスはまるでリュック本人をよく知ることができたような気がした。」

 

続いて番組は《ファーウエストニュース》の話になります。「これはヘールシュピール作品として委嘱(オランダのラジオ局NPSヒルヴァーサム)され作曲された、米国西部の旅。これはごまかしのない、忠実な日記である。」

 

[音の抜粋]

 

「機関車の録音は、もともとパリで調べておいた資料にもとづく。これは、日記でもあり、音の資料でもある。この旅行は綿密に計算されていたものだった。」

 

[また抜粋]

 

続いて番組では、91年にダヴィッド・ジスさんとラジオで対談したときのリュックの言葉「平凡なものが刺激的だ」が引用されました。

またダヴィッドが最近発表したアルバム「トゥート・レ・ミュジック」のなかに収められたリュックが手が加えた作品も流されました。

 

リュック・フェラーリは「日常的な音」をよしとし、そして、GRMからナグラをもって外に出て「日常的な音」を探した。彼には音を見つける才能があり、また彼が音を見つけたとき、すでにそれは作曲となっていたのだった。」

 

彼の「音」をどのように感じますか?という問いに対して、アリスさんはこう答えます。

 

「一言でいえば、『アンチーム』でしょうか?それは優しさであり、「すべてに耳を傾ける態度」。そのすべてが『源泉』だと思います。たとえそれが沈黙であったとしても。」

 

最後に「あなたは『プレスク・リヤン賞』についてはどう思っていますか?彼の音を使って作曲することは、果たして可能なのでしょうか?」という問いに対し、ブリュンヒルドさんは

 

「作曲家によって、(リュック・フェラーリのサウンド・アーカイブの音を使って作曲することを)『素晴らしい』と思うか、『厄介だし、難しすぎる』と思うかによって、作品の違いがでてくると思うけれど、それは作品を聴けばすぐにわかる。」と話しておられました。

 

 

 

 

アーカイブの現場で、単なるサウンドエンジニアとしての仕事をこなすことだけに満足するのではなく、常にその場においてさまざまな創意工夫を怠らず、集中して仕事に取り組まれているアリスさんと、またそんなアリスさんの熱意を温かく受け止めながら、未来を見据えてこれ以上無く真剣に仕事に取り組んでおられるブリュンヒルドさんのまっすぐな姿勢を感じ取ることのできる良番組でした。 

 

この番組「Thomas BaumgartnerのSupersonic」は以下のポッドキャストでまだ視聴可能です!

 

Supersonic : podcast et réécoute sur France Culture

 

 

 

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