全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。
今日は先日10月9日にパリのサン=ジェルマン=デ=プレで開催されたINA/GRM主催によるリュック・フェラーリの没後10年となるコンサート”Concert-hommage à Luc Ferrari”の模様を現地から届いたばかりの情報と映像を下にお知らせします。
今回会場となったのはサンジェルマン大通りとサン=シュルピス教会の間にある”Auditorium Sanit Germain”です。
ラジオ・フランスにあるGRMホールではなくこの会場になったのは、前回のプレスク・リヤン賞2013のコンサートも行われたGRMホールが現在改修中であり、INA/GRMのコンサートホールがここに移転しているからのようです。
パリの中心部にあり、また地の利もとてもよいこの会場でコンサートを開催できたことは、お客様にはかえってよかったかも知れません。
ホールの下には公設市場や駐車場もある素晴らしいロケーション
今回のコンサートは3日間にわたって開催されるINA/GRMのイベント”multiphonies 15/16 - AKOUSMA”の初日の催しとして開催されました。
ほぼ満席となった250席ほどのお客様には今回、リュック・フェラーリを直接には知らないであろう若い世代のお客様の姿が目立っていたというのもとても嬉しい便りでした。
会場に入るとさまざまな形のスピーカーが設置してあるのが目に飛び込んできます。
ステージを見ると大きく目をひくのはM字型にクロスするように設置された青と赤のネオン管。今回の照明は古くからGRMのコンサートの照明を担当しておられる方とのこと。
送られてきた資料映像を見ると、この淡いネオン管をメインにしたシンプルな照明効果が上演の際には想像力の助けとしてすごく効いているのがわかります。
お客様に集中してひたすら聴いていただくだけのような、帰り道にちょっと疲れてしまうようなストイックな聞き方を要求しない、あっさりした中にも品のあるセッティングだったようです。
今回のアクースモニウム演奏を担当されたのは、今年4月のCollège des Bernaridinのコンサートでもアクースモニウムを担当されたMOTUSのジョナタン・プラジェ(Jonathan Prajer)氏。
ブリュンヒルド・フェラーリ(Brunhild Ferrari )女史とGRMのフランソワ・ボネ (François Bonnet)氏により今回のプログラムが組まれました。
演奏されたのは途中1回の休憩を挟み5曲。
Visage 5
Petite Symphonie Intuitive
Pour Un Paysage De Printemps
J'ai Été Coupé
Archives génétiquement modifiées
激しさあり、笑いあり、軽妙さのある曲と、どの曲もそれぞれがまったく違う系統のもので、電子音響のコンサートとしてリュック・フェラーリを偲ぶ人にも、また彼の曲をあまり知らなかった人にも満足していただける、きっちりと練り込まれたセレクションだったと言えるでしょう。
ジョナタン・プラジェ氏の演奏はそれぞれの楽曲を十分に解釈しきった上で、上演に際しては1曲1曲にさらに技巧と工夫を加えられたもので、照明との呼吸もぴたりとあった、観衆の想像力を十分すぎる以上にかきたててくれる見事な演奏であったことが映像からもはっきりと伝わります。
演奏、会場、そしてお客様。電子音楽におけるフランスの層の厚み、そして”Concert-hommage à Luc Ferrari”の名の通り、リュック・フェラーリが未来へと遺した10年目に生きる人々の成果を感じさせるコンサートだったようです。
また今回会場では支局Twitterでもお知らせしましたが、リュック・フェラーリの楽譜を精力的に企画・出版しているmaison onaさんがブースを出展しておられたそうです。
【関連過去記事】
2015年10月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州ならびに日本) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)
名古屋のコンサートのお知らせと、Collège des Bernaridinでのコンサートレポートです! - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)