リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

名古屋のコンサートのお知らせと、Collège des Bernaridinでのコンサートレポートです!

全国二万五千人超のリュック・フェラーリファンのみなさま、こんばんは。

 

今日は今週土曜に愛知県芸術文化センターで開催されます、中川賢一さんによるリュック・フェラーリのピアノ作品コンサートに向け、本年4月にパリの”Collège des Bernaridin”で行われた“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)主催による”Hommage Au Compositeur Luc Ferrari”の模様をお伝えしていきます!

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このコンサートは本年がリュック・フェラーリの没後10年となることを期して“La Muse en Circuit”(「回路の詩神」協会)とMOTUSの全面協力の下で開催されました。

以前にもお伝えしましたが特に本年の“ La Muse en circuit”(「回路の詩神」協会)のイベント”EXTENSION”は広報の肝いりで、ポスターがパリ市内の各地に展開されていたようです。

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こんな小さなパン屋さんにもポスターが!

 

 

会場となったパリ5区にあるベルナルダン教会はちょっとしたリュック・フェラーリ好きなら誰知らぬもののない「カルディナル・ルモワーヌ通り」の一本横のパッシー通りにあります。

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元々は13世紀に修道院として建設されたこの建物はその後さまざまな歴史の荒波に翻弄されながらも、ようやく現在「知と信仰の場所」としてその美しい本来の姿を取り戻し、研究や教育、イベントと文化をつなぐ場所として運営されています。(リニューアルの際にはこんな記事として紹介されています)

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また大ホールにも取り付けられているこの修道院の文様は、ピタゴラスから取られたものだそうです。

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 さて、大ホールを埋め尽くした満場のお客様の前でこの日上演されたのは今週18日に中川賢一さんも演奏される

"Collection de petite pièces ou 36 enfilades pour piano et magnétophone"(小品コレクション、あるいは36の続き、ピアノとレコーダーのための)と、本年発売が予定されていることをこの記事でもお伝えした”Journal Intime”(日記)の2(37)曲。

演奏はピアノ・俳優にドニ・シュイエさん、アクースモニウムにMOTUSからジョナタン・プラジェさん、そして「日記」の女優にはエリーズ・カロンさんという、素晴らしいキャストを迎えました。

 

最初に演奏された「コレクション」は36曲とはいえ、カラフルな曲がコンパクトに詰めこまれた宝石箱のような作品で、聴いて聴き飽きることがありません。

ドニさんはこの曲を大胆かつ繊細に解釈し、精密さはもとより、その恵まれた体格を生かしてこの曲をさらにこれ以上ないとも思えるダイナミックさで演奏するとともに、それぞれの曲のもつテーマを決して逸脱することなく、見事この作品へ新しい息吹を与えることに成功しました。

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ドニ・シュイエ氏

 

この作品は本来は磁気テープを使用する作品として作曲されましたが、今回は磁気テープではなくアクースモニウムが導入されました。

会場にはたくさんのスピーカーが配置され、会場中央に設置された演奏卓ではジョナタンさんが小さな青い光の下で演奏する姿が朧に浮かび上がります。

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リハーサル中のジョナタン・プラジェ氏

 

 

続いて演奏された「日記」。

フランス語がわかる人にはとても愉快なこの作品ですが、演者にとってのこの作品は発話の難しさ、また作品の持つ表層のスキャンダラスな部分の下に流れる豊かな想像力をいかに引き出していくかの技量が問われる作品であるとともに、俳優と女優の掛け合いの機微と間の取り方にも巧妙さが要求される作品だということです。

とびきりの温厚温和さで知られるリュックさんですが、演出の際の発音や間にはとっても厳しかったというのを聞くと、やはり言葉を大切にする人だったんだなと思ってしまいますね。

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リハーサル中のエリーズ・カロンさん

 

 

「日記」には先ほどのドニさんとジョナタンさんに加え、「思い出の循環」や「ほとんど何もない」にも出演しているエリーズさんがフェラーリ邸から運ばれた思い出の小道具たちを背に、諧謔と示唆と冗談と真剣さが混じり合ったこの作品のエスプリを最大限に引き出した熱演を繰り広げ、会場は時に大きな笑いに包まれながらも聞き惚れる人多数、終演後はスピーカーを揺らすほどの大きなカーテンコールが沸き上がりました。

 

今回紹介した「小品コレクション~」を聞いてみたいという方は、"Paris like"のこのリンクからミシェル・モレルさんによる演奏を見ることができます。

そしてなんと今回、冒頭でもお伝えした通り、日本でもこの演奏を生で聴ける貴重な機会があるんです!

 

中川賢一 現代音楽レクチャー&コンサート

 

 

既に2回のレクチャーは終了しましたが、名古屋では上記の「小品コレクション」に加え、「失われたリズムを求めて」「などなど~ウント・ゾー・ヴァイター~」に加え「ディダスカリー2」までもが一気に聴けちゃうという、とっても贅沢なプログラムになっています!

 

 

本年のミシェルさんやドニさん、またパリでのCarole Lemoigne-NicolasさんとVanessa Sanfillpoさんに引き続き、日本で中川賢一さんがどのようなリュック・フェラーリを聴かせてくれるか、またとないこのチャンスを逃す手はありません。

 

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土曜になるのが待ち遠しいですね。

 

 

近郊の方も、それ以外の方も、皆様お誘い合わせてご来場ください。

 

 

 

【関連過去記事】

 

2015年6月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

2015年5月のリュック・フェラーリ関連イベント(欧州) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

新企画「リュック・フェラーリ地帯」(第一回:parislike) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

Luc Ferrari "Jounal Intime"の予告編がYouTubeに出ています! - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)