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リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

フランス現代音楽における重要な作曲家の一人である、リュック・フェラーリ(Luc Ferrari:1929~2005)に関する情報を主に日本語でお伝えします。プレスク・リヤン協会(Association Presque Rien)は彼の友人達によってパリで設立されました。現在もその精力的な活動の下で続々と彼の新しい作品や楽曲、映画、インスタレーションなどが上演されています。 なお、より詳しい情報は、associationpresquerien@gmail.comまでお問い合わせください

「リュック・フェラーリ銀盤解説大作戦」【第五回】

リュック・フェラーリ銀盤解説大作戦」 【第五回】 

 

ヴォルテール通り11番地、地下2階……。

 

トルミン伍長:う~…さむさむさむ…年明け早々宿直なんてついてないや。ま、家にいてもすることないし、リュック・フェラーリでも聴きながら年賀状の返事でも書くか…あっ少佐!あけましておめでとうございます!

ルスタロ少佐:うむ、去年は大変ご苦労であった。といいたいところだが、夏場にビール飲みながらの傍受報告だった前回(「リュック・フェラーリ銀盤解説大作戦」【第四回】 )から随分と間が空いておるな。ったくお前ときたら呑気なものだ。おまけに今頃年賀状とは呆れてものがいえん。今年はビシバシ働いてもらうぞ。いいな!

トルミン伍長:ウィ、ムッシュー!今年もよろしくお願いします!ちなみにお正月はフランス語で“ヌーベル・アン”、つまり新年!

 

ってことで、ヌーベルつながりの“ラ・ヌーベル・ド・レスカリエ”、これいっちゃいましょう。1991年のアルバム「L'Escalier Des Aveugles 盲人の階段」に収録されてます。

ルスタロ少佐:おっこれがジャケットか。手書き風の白抜き文字がいかしてるな。

 

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トルミン伍長:でしょう、しかも見てくださいこの裏ジャケ!妻のブリュンヒルドが捉えた姿と思われますが、オールバックにサングラスでマジ渋なリュックの写真です。ジャケットのポッケに手をつっこんで、キマり過ぎでしょう?

 

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ルスタロ少佐:うむ。相変わらず危険な匂いがプンプンする男だな。目が鼻栓…いや離せん。

トルミン伍長:えっ?鼻栓てなに?耳栓はしないでくださいよ、傍受できないでしょ?

ルスタロ少佐:(赤面)いちいち拾わんでよろしい。制作はマドリッドで行われたそうだな?

トルミン伍長:そうなんですよ、スペイン国立放送からの委嘱で作られたとの情報です。アルス・ソノラRNE2と回路の詩神との共同制作らしいですね。

ルスタロ少佐:おお、しかもイタリア賞でR.A.I特別賞を受賞した作品なのか。これは期待できそうだな。

トルミン伍長:え?R.A.Iってなんですか?

ルスタロ少佐:イタリア放送協会のことだよ。イタリア賞っていうのはラジオ番組やテレビ番組に与えられる権威ある賞なんだ。1948年創設と歴史も厚い。日本のNHKなんかも受賞経験があるぞ。

トルミン伍長:すごいっす~~!まさにラジオ芸術と歩みをともにしてきたリュック・フェラーリにふさわしい賞なんですね~。

ルスタロ少佐:感心しとらんで、早く傍受せんか。全13曲の中の最後のトラック、” La Nouvelle De L'escalier ”だな?

トルミン伍長:はいはい、そうです。リュック・フェラーリと若い女性が「盲人の階段」と言いながら階段を登ったり降りたりしてるだけの短い小品です。

ルスタロ少佐:ちょっと待て。若い女性が階段を降りるだと?それは幻の音源との呼び声高き「階段を降りる女性」じゃないのか?!

トルミン伍長:うっふっふ。違います!確かに共通する素材ではありますけど、「階段を降りる女性」は2004年の作品、しかも未公刊。こちらは1991年発で別モノで~す。ちなみに「階段を降りる女性」は「逸話的なものたち」で出てくる素材も隠されてますよ。まあ発売されてないから少佐にとっては確かめようがないことですね~。

ルスタロ少佐:ぐぬぬ…お前、そんな機密情報をどこで…腕をあげたな。教えろ。

トルミン伍長:ここです!→リュック・フェラーリの未公刊作品『階段を降りる女性』(『プレスク・リヤン協会』入会特典CD

ルスタロ少佐:な、なに!?プ、プレスク・リヤン協会に入れば、も、もらえるだと…? そんなうまい話が…

トルミン伍長:あるんですね~。しかもこっちは全14曲入り。盲人の階段の13曲に一歩リードですね!どうです?入会したくなったでしょ?申込書のダウンロード先、貼っておきますね!はい!→「プレスク・リヤン協会」(Association Presque Rien)案内 

ルスタロ少佐:う~む、お前、誘導術も覚えたのか…

トルミン伍長:成長したのはそれだけじゃないですよ。以前、「不気味に美しい」を数えながら寝ちゃったことあったでしょ?「リュック・フェラーリ銀盤解説大作戦」第3回のとき 。今度はばっちり数えましたよ、この曲で何回「盲人の階段」って言っているか?!ズバリ、53回です!ちなみに階段だけならプラス2回、盲人だけならプラス1回ですよ。

ルスタロ少佐:週刊誌のバイト君みたいな癖は変わらんな…

トルミン伍長:正確にはね、リュック・フェラーリの言うフランス語「L'escalier des aveugles」と女性の言うスペイン語「(la) Escalera de los ciegos」の掛け合いなんです。盲人の階段、盲人の階段と言い合ってるわけなんですね。最初のうちは、あ、階段降りたなとか上がったなとか、二人の距離感とかが響きで掴めるんですけど、これ螺旋階段なんですかねえ、だ~んだんとね、ぐるぐるぐるぐる、融け合って、なにがなんだか…わからなく……バタッ!

ルスタロ少佐:もう騙されんぞ。倒れたふりをしても無駄だ。

トルミン伍長:てへぺろ。まあ、彼の魔力の健在っぷりをまたしても魅せつけられた逸品でございました。掛け合いもただの繰り返しじゃなくて、ちょっと含み笑いをしながらだったり、時に息を切らせていたり、表情豊かなんです。また時折混ざる電子音も時空を撹乱させる効果ばっちりで、聴き応えありますよ。

ルスタロ少佐:うーん、たった2分半の曲でこれほどの効き目とはさすがとしか言い様がない。よし、ご苦労であった。下がってよろしい。

トルミン伍長:イエッサー!改めまして、今年もよろしくお願いします!

 

今日聴いたCDは…

 

L'Escalier Des Aveugles (対象曲は La Nouvelle De L'escalier )

 

でした♪

http://www.discogs.com/Luc-Ferrari-LEscalier-Des-Aveugles/release/284548

 

試聴はこちら

http://radioartnet.bandcamp.com/album/lescalier-des-aveugles

 

10枚組のLuc FerrariL'Œuvre Électroniqueでも聴くことができます

http://www.discogs.com/Luc-Ferrari-L%C5%92uvre-%C3%89lectronique/release/1793296

 

【関連過去記事】

 

「リュック・フェラーリ銀盤解説大作戦」【第四回】 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版) 

 

「リュック・フェラーリ銀盤解説大作戦」【第3回】 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

「リュック・フェラーリ銀盤解説大作戦」【第2回】 - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)

 

リュック・フェラーリ銀盤解説大作戦(第一回) - リュック・フェラーリの『プレスク・リヤン協会』(簡易日本語版)